キャンティとキャンティクラシコの違い

【最終更新日】2022年11月17日

キャンティ(Chianti)のワインはキャンティ・クラシコ(Chianti Classico)と混同されがちで、キャンティ・クラシコはキャンティの一地域と考えられている方も多いと思います。

しかし、現在は原産地呼称であるDOCGでも別とされており、呼称できる規定も違いがあります。

 

このページでは、キャンティとキャンティクラシコの違いをその成り立ちと規定を解説しています。

 

【キャンティワインの総論についてはこちらをご参考ください】

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キャンティとキャンティクラシコの違い

歴史・沿革

1716年に、トスカーナ公国のコジモ3世はワイン栽培に適した地域を定めました。

この中にキャンティ地方はあり、そこでは“キャンティ“という名を冠したワインしか製造されていませんでした。

20世紀にキャンティの需要が世界的に高まり、規定された地域外の近隣地域でも生産できるよう、地域を広げました。

 

元々のキャンティ地方の生産者はこの大量生産に重きを置いたワインと自分達のワインの差別化を図る為、1924年にキャンティ・クラシコ協会を設立しました。

この協会の運動の結果、1932年には他キャンティと区別する“クラシコ“を名乗る事が認められ、1984年にキャンティの一地域としてですがDOCG認定を受け、1996年には独立したキャンティ・クラシコとしてDOCG認定されました。

 

 

規制と分類

キャンティはトスカーナ州の中央部にあり、その中心部にキャンティ・クラシコはあります。

両者の違いは地域だけでなく、規制も違います。

どちらのワインもサンジョヴェーゼを主として作られていますが、キャンティは最低70%使用しなければなりませんが、キャンティ・クラシコは最低80%使用が義務付けられています。

また、キャンティでは白ブドウも使用が認められていますが、キャンティ・クラシコでは認められていません。

 

以下にキャンティ、キャンティ・クラシコの分類をまとめます。

 

・キャンティ アルコール11.5%以上で、6ヶ月間の熟成

・スーペリオーレ(Superiore) アルコール12%以上で、12カ月間の熟成

・キャンティ・クラシコ アルコール12%以上で、12カ月間の熟成

・リゼルヴァ(Reserva) アルコール12%以上で、24カ月間の熟成

・グラン・セレツィオーネ(Gran Selezione)  キャンティクラシコの規定を守り、かつ、アルコール13%以上で、30ヶ月間の熟成

 

この為、リゼルヴァは通常キャンティの最高級ワインとされ、グラン・セレツィオーネはキャンティ・クラシコの最高級ワインとされています。

 

キャンティは生産地域も広大である為、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのような高級ワインもあれば、飲みやすく、買い求めやすいワインまで様々なスタイルのワインがあります。

様々な規定やスタイルがあるため、サンジョヴェーゼを主とする特徴はありますが、一概にまとめる事は難しいです。

 

キャンティクラシコの黒い雄鶏は?

キャンティ・クラシコは伝統と厳しい規定の中で、しっかりとしたタンニンの渋みと酸味も高めでミディアム・ボディのワインとなる事が多く、チェリーやナッツ、華やかな香りを持ちます。

また、キャンティ・クラシコのワインボトルには必ず黒い雄鶏(Gallo Nero)のマークが見られます。

 

この黒い雄鶏には逸話があります。

中世ではフィレンツェとシエナの両都市間で領土争いが続いており、解決策として日の出に両都市から1人ずつお互いに向け出発し、出会った所を境界とする事にしました。

出発の合図としてシエナでは白い雄鶏を、フィレンツェでは黒い雄鶏を選びました。

 

黒い雄鶏は何日も餌を与えられていなかった為、夜明けのかなり前に鳴き始め、シエナより早く出発したフィレンツェはキャンティ地方ほぼ全体を支配下に治める事が出来ました。

この逸話に見られる黒い雄鶏は、その後レガ・デル・キャンティという軍事同盟のシンボルとなり、現代のキャンティ・クラシコ協会もシンボルとして採用し、規定を遵守しているワイン全てに彼らの歴史、伝統、誇りの象徴として添付されています。


 

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