【最終更新日】2022年10月16日
オーメドック(HAUT-MEDOC)は、ボルドー地方の中でもジロンド川左岸の上流に位置するワイン生産地区です。
ボルドーを代表する赤ワインの産出地でもあり、有名なシャトーが集中している場所でもあります。
サンテステフ村を境に上流域をひとくくりにしてオーメドックと呼び、下流域は以前はバ・メドックと呼んでいました。
オーメドックはHAUT-MEDOCとつづり、HAUTはフランス語で”高い”の意味になります。
ワインファンが使うメドックという言葉は、一般的にはほとんどはオーメドック地区のワインを指します。
一方のバ・メドックはBAS-MEDOCとつづり、このBASはフランス語で”低い”下の”の意味になります。
バ・メドックはメドックの中でも下流域にあるためバ・メドックと呼んでいます。
しかし、下流域にあるというだけでなく、消費者には品質や階級が低いのではとイメージされると問題視され、現在ではバ・メドックとは呼びません。
オーメドックは個別のAOCでもあり、メドック1855年の格付けのオーメドックAOCのワインは以下のとおりです。
3級 シャトーララギューンChâteau La Lagune (à Ludon-Médoc)*最も南に位置するシャトーとして有名
4級 シャトーラトゥールカルネ Château La Tour Carnet (à Saint-Laurent-Médoc),
5級 シャトーベルグラーヴ Château Belgrave (à Saint-Laurent-Médoc),
5級 シャトーカメンサック Château de Camensac (à Saint-Laurent-Médoc)
5級 シャトーカントメルル Château Cantemerle (à Macau)
オーメドック
広域なメドックのAOC
オーメドックは、ボルドーの郊外のメドックの近辺までの29の村を含む地域で、広さは約4,600haです。
6つの独立した村名AOCがあり、
サンテステフ
ボイヤック
マルゴー
ムーリス
サンジュリアン
リストラックメドック
がありますが、これらはオーメドックのAOCで発売されることはなく、それぞれのAOCで発売されることがほとんどです。
(もっとも、実際にはこれらの村も近接する村からも生産されていて、厳密にはそれぞれの村だけではありません)。
ブドウ品種と出来上がるワイン
ブドウ品種はカベルネソーヴィニヨンを主体としています。
他にもメルローやマルベック(地方によってはコットと呼ばれる)、カベルネフランなども栽培されています。
この地域のワインは5~10年ほど熟成させるワインとなり、タンニンをしっかりと感じられるコクあるワインです。
北側と南側で味わいが異なり、北側は風味豊かですが、南側は柔らかくて軽い味わいが特徴になります。
小規模のシャトーが沢山あるため、シャトー毎に少しずつ違った味わいを楽しめることも魅力でしょう。
遅咲きのワイン産地
メドック全土は、ボルドーワインの歴史から見ると比較的新しい産地で、グラーヴなどに比べると遅咲きのイメージがあります。
もともとは湿地帯だったためブドウ栽培が行われていませんでしたが、17世紀にオランダ商人が排水工事を行って、湿地帯からブドウ栽培向けの土地に開拓したことが始まりでした。
その後ブドウの栽培が行われ、19世紀にはフランスでも有名なワイン産地へと一変したのです。
1855年にはナポレオンによってメドックの格付けが行われ、1級から5級まで行ったシャトー格付けではオーメドックのシャトーが大半を占めました。
その後、1936年にはAOC認定を受けることとなったのです。
合わせる料理
オーメドックは、ポイヤックやマルゴーなどの派手なイメージのワイン産地とは違い、知名度も高くはありません。
そのためオーメドックのワインとなるとそれだけで価格が安く抑えられる傾向にあって、これはユーザーからすれば生かさない手はないでしょう。
ボルドーらしいスパイスと熟したベリーの香り、土や皮のようなミネラル感はボルドーならではのだいご味を味わえます。
最近のシャトーは長期熟成に向くワインよりも、若くても楽しめる味わいを出す傾向にあります。
そのため都会的に仕上げた赤身肉の料理などが合わせやすいでしょう。
例えばジビエであっても鳩の胸肉をレストランのシェフがさっぱりと仕上げて凝ったソースを添えるような、そんなイメージです。
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