【最終更新日】2022年11月5日
サンジュリアン(Saint Julien)は、フランスのボルドー地方、メドック地区にあるワイン産地です。
著名なワイン産地であるポイヤックとマルゴーの間に位置しており、両者の特徴を兼ね備えていると言われています。
メドック格付けにおける1級シャトーは存在しないものの、2級格付けシャトーは5つ、3級や4級をあわせると、11の格付けシャトーを有しています。
この11シャトーでサンジュリアンのワイン生産の8割程度を占めています。
このことからもサンジュリアンのワイン産地としての品質の高さがうかがえます。
メドック地区に流れるジロンド河の左岸に位置し、河の沿岸に向かってなだらかに傾斜した地形となっています。
ブドウの栽培面積はおよそ900ヘクタール。
メドックの他の地区同様に、比較的温暖な海洋性気候であり、ブドウ畑の多くは太陽光のあたりやすい南東に面しています。
晩熟型のブドウ品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培において、とても恵まれた条件であると言えます。
砂利が混じった粘土質の土壌や粘土石灰質を砂利が覆う土壌であり、骨格のしっかりしたワインがある一方、力強さとしなやかさを兼ね備えたワインも作られています。
【カベルネソーヴィニョンについてはこちらをご覧ください】
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目次
サンジュリアンのワインの基礎知識
規定(特徴、ブドウ品種、出来上がるワインの色など)
サンジュリアンのどのシャトーもカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高い作りとなっています。
色調はガーネット。仕上がりはサンジュリアンの中でも地域により特徴があります。
ポイヤック側である北部の畑では骨格のしっかりしたパワフルなワインとなる傾向があり、マルゴー側となる南部では緻密でエレガントなワインが出来上がります。
しっかりとした骨格と凝縮感を持つワインであるため長期熟成にも十分耐えるポテンシャルを有しますが、ポイヤックのワインと比べると、早くから飲み頃を迎えるものが多いことも魅力の一つです。
カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされるブドウ品種としてはメルローが代表的ですが、ボルドーの地方のすべての赤ワインと同様に、カベルネ フラン、プティ ヴェルド、マルベック、カルメネールもブレンドすることができます。
サンジュリアンの有名シャトー
1855年に行われたメドック格付けのうち、サンジュリアンには2級格付けが5つ、3級が2つ、4級が4つの計11の格付けシャトーが存在しています。
1級格付けはないものの、5つもの2級シャトーを有することから決してレベルが低い産地ではないことがわかります。
また、限りなく1級に近い品質を持つと言われ「スーパーセカンド」と評される、シャトー・レオヴィル・ラスカーズやシャトー・デュクリュ・ボーカイユなど、高品質なワインを造るシャトーがひしめいています。
シャトーレオヴィルラスカーズ
2級格付けのひとつ、シャトー・レオヴィル・ラスカーズはメドック最古のワイナリーの一つです。
もともとは1638年当時ボルドーの有力なワイン商であるジャン・ド・モワティ(息子はのちに財務庁長官になるエリート家です)が創設します。
ジャンの娘が結婚したのがレオヴィル家で、その後に当主が跡継ぎなしで亡くなったため、甥と姪に所有権が移ります。
その移った先の一人がラスカーズ・ボーヴォワ侯爵で、これが現在のレオヴィルラスカーズの起源にになります。
18世紀のフランス革命の余波を受けて一時は革命臨時国家に没収をされますが、のちに取り戻しの請願活動がみのり4分の3がレオヴィル家に戻ります。
こののちにレオヴィル家の所有するブドウ畑が相続などで分割をされます。
シャトー・レオヴィル・ラスカーズ
シャトー・レオヴィル・バルトン
シャトー・レオヴィル・ポワフェレ
の3つとなり今日に至っています。
なお、レオヴィル家は当代きっての名家で、同家のジャンピエールはナポレオンの股肱になった人物です。
頭脳明晰で外国語に長け、ナポレオンの側近中の側近になりセントヘレナ島までついていき死を看取った数少ない人物です。
もともと高身長だったのですが平身低頭でナポレオンに心酔し、「追従のあまりナポレオンより背が低くなった」とされる人物です。
3シャトーとも2級に格付けされていますが、レオヴィル・ラスカーズは「スーパーセカンド」の中でもその筆頭格に名前が挙げられるなど、とりわけ高い評価を得ています。
ブドウ畑はサンジュリアンの北側の境界に位置しており、ポイヤックの1級シャトーであるシャトー・ラトゥールの畑に隣接する恵まれた立地でもあります。
濃密な味わいが特徴で長期熟成型のワインが造られます。
シャトーデュクリュボーカイユ
同じく2級格付けのシャトー・デュクリュ・ボーカイユ。
こちらもシャトー・レオヴィル・ラスカーズと並んで「スーパーセカンド」の代表格であり1級シャトーに劣らぬ高い品質のワインを造り続けています。
「ボーカイユ」とは“美しい砂利・小石”という意味で、その名の通り、ブドウ畑にはたくさんの砂利が堆積しています。
水はけがよく傾斜のある恵まれた立地から偉大なワインが産み出されています。
格付けシャトー
サンジュリアンの11の格付けシャトーは以下の通りです。
【1級】
なし
【2級】
Chateau Ducru-Beaucaillou ( シャトー・デュクリュ・ボーカイユ )
Chateau Gruaud-Larose ( シャトー・グリュオ・ラローズ )
Chateau Léoville-Las Cases ( シャトー・レオヴィル・ラスカーズ )
Chateau Léoville-Barton ( シャトー・レオヴィル・バルトン )
Chateau Léoville-Poyferré ( シャトー・レオヴィル・ポワフェレ )
【3級】
Chateau Lagrange ( シャトー・ラグランジュ )
Chateau Langoa-Barton ( シャトー・ランゴア・バルトン )
【4級】
Chateau Beychevelle ( シャトー・ベイシュベル )
Chateau Branaire-Ducru ( シャトー・ブラネール・デュクリュ )
Chateau Saint-Pierre ( シャトー・サン・ピエール )
Chateau Talbot ( シャトー・タルボ )
【5級】
なし
味わいの特徴
ブルーベリー、カシス、ブラックチェリー、干しプラムなどの果実や、すみれ、甘草、西洋杉などの香りが特徴です。
カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としていることから酸味とタンニンをしっかり感じられる力強く豊満な味わいとなります。
熟成を経ると精巧に織られたビロードのようなタンニンが感じられるようになり、より繊細で複雑な味わいに変化していきます。
マリアージュ
サンジュリアンのワインはカベルネソーヴィニョンのワインであってもソフトで柔らかく、熟成を経ることで際立った複雑味が味わえます。
全般的にソフトな口当たりなので、ローストしたお肉料理全般と相性がよいとされています。
ポイヤックと同様にラム肉を使った料理とのマリアージュが代表的です。
ラム肉の独特の風味、味わいとカベルネ・ソーヴィニヨンが主体のサンジュリアンのワインはとても相性がよいとされています。
お肉に添えるソースとしては、フランボワーズを赤ワインで煮詰めたソースはいかがでしょうか。
ワインの果実味や酸味ととてもよくマリアージュします。
ラム肉以外では、牛フィレ肉のソテーなども非常に相性がよいです。焼き加減はミディアム~ミディアムレアがおススメです。
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