【製法と部位】赤ワイン・白ワイン・ロゼワインの本当の違いって?

【最終更新日】2024年8月1日

ワインには赤ワインと白ワインがありますが、その違いは何でしょうか?

基本的に、赤ワインは黒ブドウ(ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなど)から、白ワインは白ブドウ(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなど)から造られます。

 

ですが「ブラン・ド・ノワール(黒の白)」のように黒ブドウから造られる白ワインも存在していて、シャンパン造りにおいてはポピュラーなワインです。

細かいことは別の記事でご紹介しますが、黒ブドウ・白ブドウどちらからも透明な果汁を造ることができます。

そのため赤ワインと白ワインでは原材料であるブドウの色で区別することは出来ない、と言う事になります。

 

原材料の白ブドウ、黒ブドウでワインの色が決まらないとすると、では、どのようにして赤ワイン、白ワイン、ロゼワインは造られるのでしょうか?

今回は赤ワイン、白ワイン、ロゼワインの違いを、その製法をもとに解説します。

 

赤ワイン、白ワイン、ロゼワインの違い

赤ワインと白ワインでは使用する部位が違う

赤ワインと白ワインでは、ブドウの色は決定的な違いではないと解説しましたが、では、その明確な違いとは一体なんでしょうか?

その答えはワインの「製法」と「使用する部位」にあります。

ワインの色は果肉では無く皮から生まれるので、赤ワインを造るのと白ワインを造るのでは使用する部位と工程が違います。

 

赤ワインの製法

まず赤ワインは、収穫した黒ブドウを、皮や種ごと潰して木樽やタンクなどに入れて、3〜4週間ほど漬け込みます。

この工程はマセラシオンと呼ばれて、果皮から赤い色素のアントシアニンや渋みの成分であるタンニンが抽出されます。

 

(ここから、ピノ・ノワールのような明るい皮のブドウからは淡い色の赤ワイン、カベルネ・ソーヴィニヨンのような厚く黒みの強い皮のブドウからは濃厚な赤ワインが生まれる理由は皮にある、と言う事が分かります。)

 

この間に酵母の働きで、果肉の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて、発酵が進んで行きます。

こうして発酵させた液体を樽やタンクに入れて熟成させたものが赤ワインです。

 

この時に発酵前または発酵の最初の方で皮を引き上げるとロゼワインになるのですが、ロゼワインには何通りかの造り方があるので後述します。

 

白ワインの製法

次に白ワインを見てみましょう。

白ワインを造る時にはまず搾ったブドウの果汁を濾して、皮や種を除いた果汁にします。

その果汁だけを発酵・熟成させたものが白ワインになります。

 

つまり白ワインは皮の色に関係なく造ることができるけれど、赤ワインは皮の黒いブドウからしか造ることが出来ない、と言う事になります。

白ワインにも、白ブドウの皮と種を一緒に発酵させる特別な方法がありますが、これがオレンジワインと呼ばれるもので、タンニンが含まれているので赤ワインに似た味わいがあります。

 

最近このオレンジワインはとても人気がありますが、ワイン全体から見るとまだ稀な手法です。

 

 

ロゼワインの製法

ロゼワインは透明に近い淡いものから、ザクロのような赤まで幅広いニュアンスがあります。

ロゼの製法は大きく分けると3つあります。

 

セニエ法

先ほどの、黒ブドウを赤ワインのように発酵させて適度に色がついた時点で皮を引き上げて果汁のみを発酵させることを”セニエ法”と呼びます。

このセニエ法ではくっきりとしたバラ色になり、アロマは赤系果実のようで、渋みも含み赤ワイン寄りの仕上がりです。

 

直接圧搾法

次に黒ブドウを絞って白ワインのように果汁のみを発酵させる”直接圧搾方”です。

この時にゆっくりとブドウの粒を潰すことでアントシアニン色素(※1)が果汁に移るので、ほんのりとしたロゼの色合いになります。

直接圧搾法で造ったロゼワインの色味は淡く、フレッシュで爽やかな、白ワイン寄りのものになります。

(※1)青紫色の天然色素でポリフェノールの一種。

 

混醸法

最後が黒ブドウと白ブドウを混ぜた状態で発酵させる混醸法ですが、これはドイツの「ロートリング」と言うワインに用いられる方法ですがフランスではこの方法は禁物とされています。

 

 

 

赤ワインと白ワインの特徴と合う料理

赤ワインはブドウを果皮と種を一緒に発酵させるので、渋みが強く出るのが特徴です。

またオーク樽で熟成させる事が多いので味わいは豊かに、厚みが出てきます。

そのため、赤ワインは一般的に脂肪分の多い肉料理や、濃い味付けのお料理と相性が良いでしょう。

 

一方、白ワインは果汁のみをステンレスタンクで発酵させて造る事が多いために、フルーティーで風味は軽く、酸味が味わいのメインになります。

そのため、レモンを絞って食べたくなるようなお魚の料理、またはあっさりとした家禽類のお料理等に合わせやすくなります。

 

 

ただし現在では赤と白であっても様々なタイプがあり、一概に二分できるかというと、そうでもないところもあります。

赤ワインも、ピノ・ノワールのような明るい色みのワインもあり、その場合には比較的あっさりとしたお料理が合います。

逆に白ワインでも樽熟成をしたボリュームのあるものにはバターやクリームソースなどを使ったお料理が合います。

 

【マリアージュについてはこちらをご覧ください→】

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このように単純に赤ワイン・白ワインだけで区別することは難しいのですが

「肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワイン」

と言う組み合わせが常識化しているのは、赤ワイン・白ワインの製法や構成する成分の違いから、と言う事が分かります。


 

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