飲食店の創業計画書⑧|売り上げの予測を立てる

【最終更新日】2020年8月30日

飲食店をこれから開業するあなたにとって売り上げの予測は楽しくもあり、悩ましいところでもあると思います。

倒産することを予測して計画書を作る人はいませんので、どうしても売り上げの予測は「これくらいほしい」という願望に近寄ってしまいます。

しかし、現実的な数値を記載しないと担当官は見積もりの甘さを認識してしまいます。

売り上げの予測は企画書でももっとも重要な部分でもありますので、ここは手堅く、かつ、返済可能なプランを記載するべきでしょう。

 

 

売り上げの予測の記載

一般的な日の予測

飲食店を経験された人からすると、通常はどこの店舗も売り上げは平日と祝日などで大きく変動することが普通のことかと思います。

そのため簡単に売り上げの予測なんて立てられないし、予測を立てればそれに合わせなければならないので

「それなら頑張った結果が売り上げで良いじゃないか」

と思いたくもなるかもしれません。

しかし、例えば料理人であれば週末の前日は大目に仕入れをしたり、閑散期には控えたりということを自然としていると思います。

これと同様に、売り上げは変動するものだという前提に立って、とはいえ基準日を作らないと企画書にならないというスタンスで作り上げるようにしましょう。

 

基準の売り上げ予測

今回の企画書では、客単価をランチで800円、ディナーで1100円としています。

ディナーの予測はかなり手堅く設定しましたが、手堅いほうが企画書としては信頼があります。

まずは来店人数を予測し、それに客単価をかけたものが売り上げになります。

来店数は、この企画書では

イトーヨーカドーの駐車場の入り口に隣接する好立地

すでにブランディングができているチェーン店であるということ

ほかの実績店舗の経験則

から予測をしています。

当たり前ですが、個人店で普通の路面店ではこうはいきません。

最終的に赤字になってしまえば企画書になりませんので、ここは数字上でも必ず黒字になる売り上げを予測しましょう。

満席になってもじゃんじゃん来客があっても大して利益が出なかったり、最悪な場合赤字であれば企画そのものに不整合があります。

この場合はこの後に説明する収支の部分の変動費をおさえたり、立地を変更して賃料を下げるなどの大幅な変更が必要です。

 

売り上げの予測は、縛られなくていい

これはやや融資する側を敵に回すような言い回しになりますが、最初の一店舗の計画が完全に予測通りに行くなんてことはなかなかありません。

良いほうに外れてくれればいいのですが、それはレアケースで、通常は予測よりも売り上げが伸びなかったりするものです。

飲食店経営者でも、特に新規オープンを経験している人であれば、開業当初の売り上げの厳しさをわかっていると思います。

よほど立地に恵まれた場所であったり、あるいは実績のある人でなければ最初の半年間は売り上げは伸びませんし、利益は出しにくいものです。

ただし、一度固定客がつけばそのあとの売り上げが安定するのが飲食業のセオリーです。

融資担当者もこの辺りはわかっているのですが、とはいえ最初の半年間は赤字でいつ廃業するかわからない事業者に融資はできません。

そのため、売り上げの予測は立ててしまったらそれに縛られるのではないかととらえるのではなく、一つのめやすくらいに考えるのがいいでしょう。

 

徹底的に固定費を削る

売り上げの予測を立てるのは、前述のように難しいですし、飲食業はそもそもスロースタートな経営スタイルであることを説明しました。

では、そのようななかであなたのような新規に開業する事業者がするべきことは何でしょうか。

答えはもちろん固定費を徹底的に削減し、売り上げがないなかで、赤字幅を削減できる体質を作っておくということです。

「高級店であっても正社員はおさえてアルバイトを適切に配置する」「その都度クリーニングが必要になるようなテーブルクロスなどを避ける」などはわかりやすい削減案です。

これ以外にもできることは無数にありますが、それでも利益が望めない場合は立地ごと検討しなおして家賃の安い物件でもできるようなビジネスモデルに変更する必要があります。

 

安易な甘い売り上げを予測するのは店舗経営として大変に危険です。

もちろん、融資担当者も多数の経験を積んでいるため、そのような場合は遠慮なく指摘が入ります。

基本路線は、手堅く売り上げを予測し、それでも黒字化できる計画書がベストと言えるでしょう。


 

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