【購入後】デスパーニュルージュ ワインブックス前場のプロ目線解説

【最終更新日】2024年9月6日

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デスパーニュ ルージュ(Despagne Rouge)はファミリーマートのワインです。

ファミまるのマークこそありませんが、ほかで見かけることはありませんので実質ファミリーマートのPB商品でしょう。

 

気軽な価格でボルドーワインの真骨頂を楽しめるワインで、コンビニで購入できるボルドーワインとしてはこれ以上望めるものがないくらいに完成度が高いです。

価格は税込みで1458円と、コンビニワインとしてはちょっと高い印象があるかもしれませんが、それ以上の価値を感じることのできるワインです。

この記事では、僕、ワインブックスの前場が、プロ目線でデスパーニュルージュを解説します。

 

記事の後半は有料コンテンツとなっています(500円)。

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ソムリエ・ワインエキスパート試験にも使えるように、プロのテイスティングコメントともに、試験向けのテイスティングコメントも紹介しています。

「プロ目線で飲むとこうなる」を知ることで、あなたのワインの経験は何倍にも膨れ上がります。

是非ご参考ください。

 

 

デスパーニュルージュ 2021 プロ目線解説

気軽に本格的なボルドーワインが楽しめる

今回のワイン、デスパーニュルージュは、フランス、ボルドー地方、アントルドゥーメールのワインです。

アントルドゥーメールはフランス語でEntre Deux Mersと書き、直訳すると「二つの海の間」という意味になります。

ボルドー地方の主要河川であるドルドーニュ川とガロンヌ川の二つに挟まれたエリアのことで、おそらく二つの川を海に見立ててこの容易に称しているのでしょう。

 

アントルドゥーメールの規定は白ワインのみとなっています。

このワインは赤ワインの為、AOCアントルドゥーメールとは名乗れませんので広域のAOCボルドーという、最も基礎的な呼称で売り出していることになります。

おおむねアントルドゥーメール地区で生産される赤ワインはメルロー種が主体で、このワインもメルローを主体にカベルネフラン、カベルネソーヴィニョンをブレンドして造られています。

 

過小評価のアントルドゥーメール

ボルドーのアントルドゥメール地区は、その素晴らしい赤ワインで知られていますが、しばしば過小評価されています。

この地区はボルドーの主要なワイン産地の中でも比較的少し離れた位置にあり、一般的にはメドックやサンテミリオンなどの有名な地域に比べると注目度が低いのが実情です。

しかし、その評価に反して、アントルドゥメールは魅力的なワインを生産しており、その品質の高さは見逃せません。

 

アントルドゥメールの赤ワインは、豊かな果実味と繊細なタンニン、バランスの取れた酸味が特徴で、飲みごたえがありながらも優れた飲みやすさを提供します。

この地域の土壌は、様々なタイプのワインに対応できる多様性があり、特にメルローとカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドが評価されています。また、比較的リーズナブルな価格で手に入るため、コストパフォーマンスの面でも優れています。

 

しかし、アントルドゥメールのワインはしばしば、その知名度の低さから見過ごされがちです。

高級ワインとしての地位はメドックやサンテミリオンに比べて相対的にイメージは低く、そのために素晴らしい品質のワインが不当に評価されていることもあります。

 

しかし、ワインを購入する側としては「過小評価されている」ワインにこそお宝が隠されていることに注目するべきです。

ワインの味わいに、純粋にフォーカスをすればするほど相対的に世間の評判は価値を下げることになります。

そうなると、逆にワインそのものの価値は相対的に上がることを意味するからです。

 

アントルドゥメール地区

 地理と気候

アントルドゥメール地区は、温暖な海洋性気候が特徴です。

ジロンド川とドルドーニュ川に挟まれたこのエリアは、豊富な水源と穏やかな気候条件に恵まれています。

土壌は石灰質や粘土質が多く、特に石灰質の土壌は良質なワインを生み出すための優れた条件を提供します。

この気候と土壌の組み合わせが、アントルドゥメール地区のワインに特有のバランスの取れた風味と個性をもたらしています。

 

ワインの特徴

アントルドゥメール地区のワインは、赤ワイン、白ワインともに多様な種類がありますが、特に白ワインが注目されています。

白ワインの主要な品種はソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルで、これらの品種はフレッシュでフルーティーな風味を持ち、口当たりが軽やかです。

特にミュスカデルは、アントルドゥメール地区特有の品種で、その爽やかさと甘さが特徴です。

 

赤ワインに関しては、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなどが使われています。

これらの品種を使った赤ワインは、柔らかく、果実味が豊かで、比較的早くから楽しめることが多いです。

 

ただし、規定上はアントルドゥメールAOCは白ワインのみとなっていますので、赤ワインの場合はAOCボルドーなどの広域のAOCで販売されることになります。

 

生産者とワイナリー

アントルドゥメール地区には、多くの小規模な家族経営のワイナリーが点在しています。

これらのワイナリーは、伝統的な製法を守りながらも、現代的な技術を取り入れて品質の向上に努めています。

また、多くのワイナリーでは、訪問者に対して試飲やツアーを提供しており、地域のワイン文化を体験する良い機会となっています。

 

 経済的な側面

アントルドゥメール地区のワインは、ボルドーの主要なワイン産地に比べて比較的手頃な価格で提供されることが多く、コストパフォーマンスに優れたワインを求める消費者に人気があります。

また、地域全体でワイン生産に対する情熱とこだわりが強く、品質の向上に対する努力が続けられています。

 

テイスティングコメント

テイスティングコメントは、プロ向けのコメントと、ソムリエ・ワインエキスパート試験向けの学習中の方向けのコメントに分けています。

プロ向けのコメントについてはすでに資格試験に合格した方やエクセレンス試験、コンクールなどにご活用ください。

 

ソムリエ・ワインエキスパート試験向けのコメントについては模範解答の例になります。

実際には目の前のワインと向き合って、模範解答例を参考の上、ご自身でもコメント構築をしてくださいますようお願いします。

 

 

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ソムリエ・ワインエキスパート試験向けテイスティングコメント

外観

清澄度:澄んだ

輝き:輝きのある、落ち着いた

色調:オレンジがかった、ガーネット

濃淡:やや濃い

粘性:やや強い

外観の印象:若い状態を抜けた、成熟度が高い

 

香り

第1印象:開いている、強い

果実・花・植物:カシス、ブルーベリー、メントール、土、牡丹

その他:血液、ヴァニラ、甘草、クローヴ、

香りの印象:熟成感が現れている

 

味わい

アタック:やや強い

甘み:まろやかな、ソフトな

酸味:円みのある

渋味:緻密な、溶け込んだ

バランス:流れるような

アルコール:やや強め

余韻:やや長め

 

総合評価

評価:成熟度が高く、豊か

提供温度:20度

グラス:中ぶり

デカンタージュ:直前

収穫年:2019年

生産地:フランス、ボルドー地方

ブドウ品種:メルロー種主体

AOC:AOC BORDEAUX

 

 

ワインブックス前場のプロ向けテイスティングコメント

外観

色調はふちに若干のオレンジが見え始めたガーネット。中心部分は明るく、全体的に中程度の濃さの色合いです。

澄んでいて落ち着いていて、つやのある印象。粘性はやや強めの印象があります。

 

香り

第一印象は果実の香りよりも熟成による第3アロマが感じられ、まさに熟成のピークであることを伺えます。

ジャムにしたブルーベリー、カシスなどの果実の印象に、クローヴ、ナツメグ、ほんの若干のリコリスのような根っこ系スパイスも感じられます。

熟成による香りが豊潤に感じられ、皮の印象や腐葉土、キノコ、早朝のひんやりして静かな森の中を歩いているときに感じる大地の印象が感じられます。

第2アロマはほとんど感じられず、香りの印象から熟成のピークにある段階と推測します。

樽の印象は強くなく、むしろ果実や複雑な香りとバランスを保った、エレガントにまとまった香りに感じます。

 

味わい

口に含むと柔らかい果実味と丸くて優しい印象の酸味が口に広がりますが、やや果実味が勝った印象で、全般的に口の中は潤った印象です。

渋みが非常になめらかで、液中に溶け込んだ上質な渋みに感じます。ビロードの印象です。

前半部分は果実味と酸味が勝った印象ですが、後半は滑らかな渋みと口に残る土っぽさと皮や土のような残り香が余韻となります。

余韻の長さも長く、全般的にワインのポテンシャルを感じます。

 

全体的に、熟成のピークの香り、味わいを楽しめる繊細でエレガントに仕上がったワインです。

その分力強さやボリューム感は穏やかなので、ソムリエやワインエキスパートがお客様、友人にお勧めする場合には、ボルドーワインの熟成の真骨頂が楽しめるワインということを念頭にするのが齟齬をなくすポイントになると思います。

 

飲みかた

提供温度は18度から20度程度、やや高めの温度で、最初の一嗅ぎ、一口目から複雑で繊細な風味を楽しみたいワインです。

温度を低めにするとせっかく熟成のピークに来ているワインの印象が弱く感じられるため、お勧めできません。

グラスは大ぶりのボルドーグラスではなく、むしろ大ぶりではなく中ぶりの赤ワイングラス、もしくは大き目の白ワイングラスがお勧めです。

香りは全般的に複雑で繊細ですが、決してボリューム感は強くなく、むしろやや穏やな印象も受けますので、大ぶりの赤ワイングラスだと香りの印象が希釈してしまう可能性があります。

抜栓は直前でもいいですが、30分くらい前に抜栓することで最初の一嗅ぎに集中して楽しむことのできるワインです。

あるいはデカンタージュをすることで華やいだ香りを最初から楽しめるでしょう。

 

ペアリング

ワインの品質は大変に上質ですが、だからといってリーズナブルでご家庭で気軽に楽しめるレンジの価格帯のワインです(1,500円台)。

そのためレストランのシェフの料理になると楽しむ側に心理的な抵抗が出る可能性があるため、ご家庭で熟成感のある味わいとのペアリングを楽しむのがお勧めです。

牛肉であれば豪快に赤身肉を焼き上げたような料理ではなく、むしろじっくり煮込んでゼラチン質の繊細な風味を楽しむようなビーフシチューにキノコを添えたようなお料理。

または、脂身の少ない繊維質の白身肉のお料理などがワインの渋みによく合います。

鶏むね肉をジューシーにソテーして、お醤油とだしで作ったたれでいただくようなお料理であれば、ご家庭であってもワインの繊細さと合わせていただけます。


 

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