【最終更新日】2022年3月23日
こんにちは。ワインブックスの前場です。
おそらく多くの人は、ソムリエという言葉は知っていても、ワインエキスパートという言葉は知らない、この感覚だと思います。
ソムリエはドラマや漫画にもなっているし、レストランに行けば普通に働いているのでイメージもしやすいはずです。
何となく華やかそうだし、確かにレストランのホールでは花形なのはその通りでしょう。
では、ワインエキスパートの方はと言えば、このページを開いた方であればもちろん知ってはいるけど、一般的な認知度ではどうでしょうか?
グーグルトレンドの検索数の比較を見てみましょう。
驚愕の事実かもしれませんが、これが現実です。
なんと比率にして50:1!
ざっくりいえば、ワインエキスパートの一般的な認知度はソムリエの50分の1ということになります。
「なんだ、ワインエキスパートってそんなものか」
おそらくこう思った人はいるかもしれませんが、これは個人的な意見ですが、あまりにもソムリエの名前が独り歩きしてしまった結果、ワインエキスパートが取り残された感はあるかもしれません。
また、実際の試験合格の意義については差は見出しにくく、とらえようによってはワインエキスパートの方がいいということもあります。
個人的にワインエキスパートはもっとフォーカスされてもいいと思っていますので、今回はソムリエとワインエキスパートの違いと、ワインエキスパートをお勧めする理由については解説したいと思います。
目次
ソムリエとワインエキスパートの違い
実務経験のありなしの違い
客観的なところから見てみますと、単純にソムリエとワインエキスパートの違いは実務経験のありなしによるものになります。
ソムリエは一般的にはワインをはじめとする酒類を扱う職業で3年以上の経験が必要です。
”一般的”というのは、ソムリエ協会に加入しているかしていないかで若干の差があるからです。
比較してワインエキスパートは職務経験は問われませんし、どのような職業であっても受験することができます。
仮に飲食店であっても1年の職務経験がない場合ももちろん受験をすることができ案す。
(ソムリエとワインエキスパートの共通の受験資格として20歳以上という年齢制限がありますが、これは未成年者飲酒禁止法による日本の飲酒年齢によるものです)
ソムリエ>ワインエキスパート??
では、このように「実務経験を問わないワインエキスパート資格」と「実務経験の必須なソムリエ資格」ときくと、どうしても
ソムリエ>ワインエキスパート
な気にもなるものでしょう。
だれだって実務経験がある人の方がなんとなく上の様な気もしますし、医者でも弁護士でも試験に合格したばかりの人よりもベテランの方が何となく信頼感があります。
ただし、これには大きなトリックがあります。
合格者であればソムリエもワインエキスパートも実際の差は見出しにくいにもかかわらず、イメージが放置されているので、ワインエキスパートがある意味割を食っている感があるのです。
実際の難易度に差はない?
では、ソムリエとワインエキスパ―の実際の難易度を検討してみましょう。
まず、一次試験の筆記とテイスティングはほとんど同じです。
一次の筆記試験はCBT試験なのでそもそも検討のしようがありませんが、受験生の話をまとめると内容は同じです。
テイスティングについてはアイテム構成が若干違いますが(ソムリエ→ワイン3種、それ以外2種 ワインエキスパートワイン4種、それ以外1種)、ほぼ差はないとみていいでしょう。
決定的な差はソムリエは実技試験の3次試験があるのに対してワインエキスパートは3次試験はなく、2次試験までというところです。
ですが、ソムリエの3次試験で落ちる人はほとんどなく、普通に準備をすれば早々落ちるものではありません。
情報が少なくどう取り組んでいいかわからない、あるいは本番で緊張して何もできなかったなどの特殊な事情があって不合格になった人がほとんどです。
業界内ではワインエキスパートは信頼されている
では、実際にワイン業界名での評価はどうでしょうか?これは業界内のひとでないとわからないところはあるかもしれません。
僕もワイン業界の人ですが、ソムリエとワインエキスパートで差があったり、差をつけて接するということはまずありません。
おそらくほとんどの業界内の人は同じように感じているはずです。
例えばワインの仕入れをする際にインポーターの担当者さんが、ソムリエとワインエキスパートで業務に違いがあるとか、知識差があるとかそういうものは何もありません。
逆に差があると感じる人は何に根拠をもって差があると思っているのか、僕には合理的な理由は見出しにくいです。
ワインエキスパートのメリット:実務経験のショートカット
このように、ソムリエとワインエキスパートでは認知度の差はあれど、実際の難易度や業界での評価はほとんど、全く変わりません。
また、個人的にはワインエキスパートの方が長けていると感じる部分もありますので、そこをご紹介します。
まず、最大のメリットが実務経験のショートカットです。
ソムリエは3年の実務経験が必要で、これでも短くなったのですが(以前は5年だった)、こんなに待ちきれるほど現代人は暇ではありません。
優秀な人であればあるほど時間の使い方にはシビアです。
僕の後輩で以前、飲食業界で働く前のアルバイトの立場で21歳でワインエキスパートに合格した人がいました。
彼は大学卒業後にフレンチレストランでシェフを目指して働き始めるのですが、「ソムリエはいらない」といって受験すらしませんでした。
現在は海外の名だたるレストランで勤務していて、おそらく近いうちに帰国して、大活躍をするはずです。
ワインエキスパートのメリット:3次試験がない
もう一つのメリットが3次試験がないことです。
ソムリエは3次試験がありますが、これが2次試験のあとおおむね1か月後になるのです。
7月後半に1次試験が始まり、3次試験は11月の後半か12月のはじめです。つまりソムリエ試験は最大で5か月弱も試験に拘束されることになるのです。
ワインエキスパートは3次試験がありませんから、これもショートカットされて、早い人で2か月程度で試験を終了することができます。
3か月も拘束時間が短くなるのは、かなりのメリットと言えるでしょう。
ワインエキスパートがお勧めな人
では、ここでは実務経験のあるなしにかかわらず、積極的にワインエキスパートをお勧めする人を検討してみたいと思います。
ズバリ言うと、「ワインが職業のセンターピンでない人」であればワインエキスパートの方がメリットは大きいと思います。
例えばワインジャーナリストはどうでしょうか?
もちろんワインが職業であることには変わりありませんが、センターピンはワインではなくてジャーナリストです。
ジャーナリストとして売れなければワインを広めることはできないし、ワインの前にジャーナリストとして存在できていることが必要になります。
また、レストラン勤務の人であっても、最終的に独立開業を目指すのであれば、資格取得よりもワインの学習ができればいいと考える人もいるはずです。
本人自身がワインの見識があって、かつ、人間的に魅力であればソムリエの資格の有無はお客様からすればどうでもいい問題です。
それであれば時間的な拘束の多いソムリエは遠慮したいと思うのであれば、ワインエキスパートで十分でしょう。
ワインエキスパートをお勧めしない人
逆に積極的にワインエキスパートをお勧めしない人は、「職業のセンターピンがソムリエのひと」です。
例えばソムリエ業界で頑張りたい、ソムリエの世界で一人前になりたい。こういう人はさすがにワインエキスパートでは限界があります。
ソムリエの世界で活躍をするためには大なり小なり同業他者から認められなければなりません。
こうなると「なぜあの人はソムリエで活躍したいと思っているのにワインエキスパートのままなんだ」と不安を持たれてしまうでしょう。
また、やや茶化した表現になりますが、ソムリエの資格があればモテるだろうという魂胆の人もワインエキスパートではなくソムリエをお勧めします。
最初に検討したようにワインエキスパートの認知度はソムリエの50分の1なので、モテのチャンスも50分の1になるかもしれないからです。
まとめ ワインエキスパートはお勧めです
ここまでソムリエとワインエキスパートを検討してみましたが、結論とするとワインエキスパートはソムリエと差はないし、むしろメリットが大きいので強くお勧めしています。
ワインブックススクールでは試験の合格をスタートととらえているので、合格よりもその中身が大事だと考えています。
どちらの試験も学習内容として得られるものが同じであれば、言葉の響き以外に大きな違いは合理的には見出しにくいでしょう。
ワインエキスパートは愛好家の試験とされていますが、業界関係の方が積極的にワインエキスパートを取得する、という判断があってもいいと考えています。
悩まれている方は、ご参考ください。
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