購入後:【2023年反映】ソムリエ・ワインエキスパート試験 二次テイスティング過去問一覧

【最終更新日】2024年8月28日

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ソムリエ・ワインエキスパート試験を受験される方向けに、過去に出題された二次試験テイスティングワイン・飲料を一覧で表記しています。

 

受験生の皆様にとって、最も気になるのはぶどう品種と生産国でしょう。

参考程度になりますが、これをグラフでも確認しておきましょう。

個々の数値を覚えて実際の試験の判断材料にするのは現実的ではありませんが、視覚ですとまだ判断材料にしやすいと思います。

 

ここでは2011年から2023年までの資料を検討しています。正直これ以上前の出題を検討するのは合理的ではありません。

また、収穫年についても当てるか当てないかが合否に大きく左右するとは検討しづらいため、部分的に掲載はしておりません。

 

ソムリエ・ワインエキスパート試験の二次テイスティングの対策講座 テキスト編はこちらをご参考ください→

 

目次

ソムリエ・ワインエキスパート二次試験 テイスティングワイン一覧と分析

ぶどう品種:白


これを見てお分かりの通り、シャルドネ、ソーヴィニョンブラン、リースリングで8割を超えています。

そのほかの品種であっても出題は限定的であり、ここから検討すると、白ワインについては、出題者側は品種まで当てることを意図として予定していると考えるのが無難でしょう。

 

 

ぶどう品種:赤

一方の赤ワインは白ワインに比べてかなりばらけていることがわかります。

10種類以上の品種がまんべんなく出題されている印象です。

この傾向を検討すると、赤ワインについては品種の特定までは積極的には求められておらず、ということは表現方法を踏み外さない、というところに主眼が置かれていると分析できます。

 

 

生産国


生産国についてはフランス、アメリカ、オーストラリアで60%を超えていますが、そのほかの国も比較的まんべんなく出題されている印象です。

個別の品種(スペイン:テンプラニーリョ、アメリカ:ジンファンデルなど)の出題でない場合は国名まで当てることを出題側が予定しているとは考えづらいです。

 

二次試験テイスティング 過去問出題アイテム

ではここから過去10年分の二次試験の過去問アイテムをソムリエ、ワインエキスパートで振り返ります。

これはWBSの生徒様であればないとは思いますが念のため、

 

・「昨年出題されたから今年は出ない」

・「~の品種は重要そうだから今年出題されそう」

・「~さんが重要といっていたから出題されそう」

 

こういったブログやSNSなどを見かけることもありますが、すべてノイズなので振り回されないようにしてください。

当たり前ではありますが資格試験であれば本番にならなければ何が出題されるかは誰にもわかりませんし、わかってはいけません。

 

実際に昨年出題されてもまた今年出題があったなんてこともありますし、不安や期待を過度にあおる文言の裏には必ずなにかしら意図があるものです。

釈迦に説法ではありますが、念のため付言をさせていただきました。

 

ソムリエ・ワインエキスパート二次試験 過去問・出題ワイン一覧

2023年度

ソムリエ

1 ソーヴィニヨン・ブラン フランス 2021年

2 マルベック アルゼンチン 2020年

3 メルロ 日本 2018年

4 ドライベルモット

5 スコッチウイスキー

ワインエキスパート

1 ソーヴィニヨン・ブラン チリ 2021年

2 リースリング オーストラリア 2021年

3 グルナッシュ フランス 2021年

4 テンプラニーリョ スペイン 2017年

5 ジン

2022年

ソムリエ

1 シャルドネ  フランス 2020年

2 リースリング  ドイツ 2019年

3 シラー/シラーズ  オーストラリア 2020年

4 ピスコ

5 イエガーマイスター

 

ワインエキスパート

1 ソーヴィニヨン・ブラン  ニュージーランド 2019年

2 甲州  日本 2021年

3 カベルネ・ソーヴィニヨン  アメリカ 2019年

4 シラー/シラーズ  フランス 2018年

5 オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ

 

 

2021年

ソムリエ

フランス:シャルドネ 2019年

イタリア:サンジョヴェーゼ 2018年

アメリカ:メルロー 2017年

ラム

ヴェルモット

 

ワインエキスパート

フランス:リースリング 2019年

フランス:ヴィオニエ 2019年

スペイン:テンプラニーリョ 2017年

チリ:カベルネ・ソーヴィニョン 2018年

テキーラ

 

 

2020年

ソムリエ

フランス:ソーヴィニョン・ブラン 2018年

日本:シャルドネ 2016年

イタリア:ネッビオーロ 2017年

ホワイト・ポート

ウォッカ

ワインエキスパート

アルゼンチン:トロンテス 2019年

フランス:シャルドネ 2018年

フランス:カベルネ・フラン 2018年

ニュージーランド:ピノ・ノワール 2018年

ラム

 

 

2019年

ソムリエ

フランス:アリゴテ 2016年

アメリカ:カベルネ・ソーヴィニョン 2016年

スペイン:テンプラニーリョ 2014年

梅酒

ジン

 

ワインエキスパート

ニュージーランド:ソーヴィニョン・ブラン 2018年

日本:甲州 2017年

イタリア:サンジョヴェーゼ 2015年

オーストラリア:カベルネ・ソーヴィニョン 2015年

紹興酒

 

 

2018年

ソムリエ

アルゼンチン:トロンテス 2016年

フランス:リースリング 2016年

オーストラリア:シラーズ 2016年

マデイラ

カルヴァドス

ワインエキスパート

ドイツ:リースリング 2016年

オーストラリア:シャルドネ 2015年

日本:メルロー 2014年

フランス:グルナッシュ 2013年

ベネディクティン

 

 

2017年

ソムリエ

日本:甲州 2016年

オーストラリア:カベルネ・ソーヴィニョン 2014年

イタリア:サンジョヴェーゼ 2014年

オードヴィードキルシュ

ドランブイ

 

ワインエキスパート

チリ:ソーヴィニョン・ブラン 2015年

フランス:ミュスカデ 2016年

フランス:ガメイ 2015年

アルゼンチン:マルベック 2015年

サンブカ

 

 

2016年

ソムリエ

フランス:シャルドネ 2014年

オーストラリア:シラーズ 2014年

日本:マスカット・ベーリーA 2013年

マデイラ

アルマニャック

 

ワインエキスパート

フランス:リースリング 2013年

アメリカ:シャルドネ 2013年

オーストラリア:シラーズ 2014年

スペイン:テンプラニーリョ 2013年

泡盛

 

 

2015年

ソムリエ

フランス:ソーヴィニョン・ブラン 2012年

フランス:リースリング 2014年

ニュージーランド:ピノ・ノワール 2012年

ジン

スイートヴェルモット

 

ワインエキスパート

オーストラリア:リースリング 2013年

フランス:シャルドネ 2012年

フランス:シラー 2014年

アメリカ:カベルネ・ソーヴィニョン 2012年

コニャック

アマレット

 

 

2014年

ソムリエ

アメリカ:シャルドネ

オーストラリア:カベルネ・ソーヴィニョン

フランス:ピノ・ノワール

ドライヴェルモット

カルヴァドス

 

ワインエキスパート

ドイツ:リースリング

ニュージーランド:ソーヴィニョン・ブラン

アメリカ:ピノ・ノワール

フランス:シラー

シングルモルトウイスキー

ガリアーノ

 

 

2013年

ソムリエ

オーストラリア:シャルドネ

ドイツ:リースリング

フランス:メルロー

マディラ

グラッパ

 

ワインエキスパート

日本:甲州

フランス:ソーヴィニョン・ブラン

フランス:カベルネ・フラン

アメリカ:ピノ・ノワール

カルヴァドス

トウニーポート

 

 

2012年

ソムリエ

ドイツ:リースリング

アメリカ:ピノ・ノワール

フランス:シラー

ホワイトポート

ダークラム

 

ワインエキスパート

オーストラリア:リースリング

フランス:シャルドネ

フランス:ガメイ

イタリア:ネッビオーロ

ホワイトキュラソー

カルヴァドス

 

 

2011年

ソムリエ

アメリカ:シャルドネ

イタリア:サンジョヴェーゼ

オーストラリア:シラーズ

スーズ

テキーラ

 

ワインエキスパート

アメリカ:シャルドネ

フランス:リースリング

オーストラリア:シラーズ

スペイン:テンプラニーリョ

ドライヴェルモット

ウオッカ

 

過去の出題からどう分析するか?

さて、ここまでを見ていただいて、ここからが核心部分になります。

これまでのデータをもとに、本番ではどのように回答すればいいのかを分析していきます。

 

ここからの分析を見ることで、トレーニングや深く考えて実行するべきところがわかるばかりか、考えなくていいところ、トレーニングしなくていいところがわかるようになります。

おそらく多くの人は、ただ闇雲に「ワインのテイスティング」という見方でテイスティング試験を見ると思いますが、それでは効率は悪いですし、時間はいくらあっても足りません。

 

この試験の本質は可処分時間との戦いです。

ただでさえ忙しい現代人に、ソムリエ試験・ワインエキスパート試験に毎日割ける時間はそうはありません。

試験合格はゴール、というとらえ方をすれば「とにかく時間と労力を使ってゴリゴリテイスティングを練習して合格」というのもありでしょう。

ですが現実は違います。試験合格は新しい日常フェーズのスタートなのです。

 

過去の出題もここまでそろえば、ある程度の傾向がつかめますし、傾向を踏まえたうえで適切にトレーニングをすることであなたのテイスティング試験の合格力は一気に向上します。

二次試験に進む方は必ず最後までしっかり理解してください。

 

ここから先はクローズコンテンツになります。

WBS一般会員様は無料で最後までお読みいただけます。

WBSのソムリエ試験・ワインエキスパート試験対策講座はこちら→

 

 

 

 

トレーニングには、「やるべき個所」と「やってはいけない個所」がある

では、ここからいよいよクローズコンテンツになります。

ここまでのデータをもとに分析していきますが、せんじ詰めると分析をすることで

①やるべき個所

②やってはいけない個所

がわかるようになります。

 

①やるべき個所については分かりやすいでしょう。

この部分は泥臭く、愚直な努力が実を結ぶ部分ですので、時間と労力を割いてトレーニングを勧めてください。

 

逆に②やってはいけない個所については、案外軽視をされているところもあるかもしれません。

ただし、②を知ることで逆に時間を割く必要のない箇所が浮き彫りになるため、そのぶんのリソースを①に注ぐことができるようになります。

そのため、まずは②から知るべきでしょう。

 

「大勢の側の判断」の方に入る

大変につまらない表現になってしまい申し訳ありませんが、ソムリエ試験・ワインエキスパート試験のテイスティングは、毎年7~8割の方が合格する試験です。

こういう条件においては、「大勢の側に入る」ことが合格のために必要で、逆に、仮に不正解であっても「大勢の側」であれば致命的なミスにはならないということになります。

 

①大勢の人が正解する問題

②少数の人が正解する問題

③大勢の人が不正解する問題

④少数の人が不正解する問題

 

つまり、このうち、①と④についてはこだわるべきですが、②と③については試験攻略の合理性から考えればどうでもいい問題で、こだわることは逆に不合理であることを意味します。

かなり厳しい言葉であることを承知していますが、ここを共通の理解として先に進みましょう。

 

収穫年は、探っても無駄

なんといってもトレーニングで最も無駄なのは収穫年でしょう。

収穫年についてはおそらくどのワインスクールも「煎じ詰めれば考えるだけ無駄」という結論のはずです。

というのも収穫年を当てるためには産地の収穫年ごとの気候と、インポーターの輸入するワインの味わいを把握しなければ到底行きつけない領域なのです。

 


そのため、ここは割り切って、このように考えましょう。

↑のグラフは白ワインの過去10年の、開催年からみた正解の収獲年の分布になります。

収獲年マイナス2が50%と最も多く、1年前から3年前で95%以上であることがわかります。

 

次に赤ワインです。

赤ワインは2年前、3年前、4年前で8割を超えています。

 

ここから、

白ワインについては2年前をデフォルトに考える

赤ワインについては2~4年前をデフォルトに考える

 

がセオリーになります。

赤ワインについては考えても意味がない、と割り切れば3年前に決め打ちにするのも一つの手段でしょう。

 

収獲年は「試験においては」意味がないだけ

ここまで書いておいてただの保険になりますが、収穫年は考えるだけ無駄、というのは試験に限定した考え方で、ワインライフにおいては収穫年は決してそういう存在ではありません。

特に個別の領域のワインに限定すればもちろん収穫年ごとの違いは明らかです。

ブルゴーニュであれば、ブルゴーニュワインファンであれば収穫年ごとの違いを言い当てられる人は多いでしょう。

 

また、生産者であればなおさらで、毎年の作柄はそれこそ生産者の人生そのものです。

ここは試験向けのトレーニングと割り切って考えた結論なので、これを実際のワインライフと混同しないようにしましょう。

 

ブドウ品種は「当たる、当たらないにこだわる品種」にこだわる


ブドウ品種についてはかなり偏っていますので、「当たるあ当たらないにこだわる品種」にこだわるべきです。

ここでガルガネガも出るかもしれない、アシルティコも出るかもしれない、と言われても空振りに終わる可能性は高いですし、出ても回答は割れるので致命的なミスになりえません。

 

例えばいきなりソアヴェが出題されてもおそらく本番のプレッシャーで多くの人はシャルドネにチェックを入れるでしょう。

二次試験は7~8割の人が合格するため、「大勢の判断」側に入ることが重要なので、ここでソアヴェにチェックを入れるのは逆に外したときに「大勢の判断」ではないほうに入ることを意味するからです。

赤ワインについては白ワインよりはばらけますが、それでも取り組むべき品種は限られてきます。

 

まとめますと、白ワインは
・シャルドネ(樽・ステンレス)

・リースリング

・ソーヴィニョンブラン

・甲州

 

赤ワインは

・カベルネソーヴィニョン

・ピノノワール

・シラー

・シラーズ

 

ここまでは品種当てまでこだわるようにしましょう。これだけなら何とかなるはずです。

この辺りの品種が出題された場合、半数以上の人は正解するので、これを外すと「大勢の側」に入れないからです。

 

赤ワインの中間系の品種、メルローやサンジョヴェーゼ、テンプラニーリョについては、悩ましいですがこれらは出題がされても正解率はいいとこ3割程度でしょう。

3割の正解率となると、「大勢の側」は不正解の方になりますので、この辺りの品種は当てることは参考程度にしておき、表現にこだわって取り組むのがセオリーになります。

 

では、次に具体的な品種別の分析をしてみましょう。まずは白ワインからです。

2011年からのデータから検討します。ソムリエとワインエキスパートで分けて検討する合理的な理由は見出しにくいので、数値については合算しております。

 

①シャルドネ

合計で13回出題されています。白ワインの本命ですが、ただしステンレス系と樽熟系に大きく分かれるので注意が必要です。

おそらく出題側の意図としてはステンレス系はフランスのシャブリ、樽熟系はニューワールドとするのがわかりやすい予測ですが、こればかりはその時にならないとわかりません。

フランス6

日本1

オーストラリア2

アメリカ4

となっています。

 

このため、仮にテイスティングによらずに決断する端緒を見出す一つの戦略としては、アルコール度数や凝縮感と、樽かステンレスで判断すれば、

樽熟成かステンレス熟成かの印象、アルコールや酒質のリッチさでフランス、もしくはアメリカで判断するのが無難です。

ただし近年はニュージーランドや南アフリカのシャルドネの品質が上がってきているので注意が必要です。

 

②ソーヴィニョンブラン

9回出題されています。

フランス 4回

チリ 2回

ニュージーランド 3回

 

となっています。チリについてはおそらく最も生産量の多い品種ですので出題があるのかもしれませんが、正直意図が見えづらいです。

一般的にエルバッセ(芝生の印象)が強弱でフランス、もしくはニュージーランドで検討するのがいいでしょう。

 

③リースリング

13回出題されています。

フランス 5回

ドイツ 5回

オーストラリア 3回

 

となっています。アルコールのボリューム感でフランスかドイツかを選択し、アルコールのボリューム感石油のようなテルペンの香りでオーストラリアを選択するのが無難でしょう。

 

 

次に赤ワインです。

 

①ピノ・ノワール

6回出題されています。

フランス 1回

ニュージーランド 2回

アメリカ 3回

意外ですが、2011年から検討するとアメリカが3回と最も多く出題されています。

ただし近年のニュージーランドのピノノワールの品質の向上を検討すると、フランスかニュージーランドが無難な選択かもしれません。

また、近年はフランスのピノノワールの価格が上がっているため、そこも検討材料になります。

 

②カベルネ・ソーヴィニョン

7回出題されています。

アメリカ 3回

チリ 1回

オーストラリア 3回

 

シラーとシラーズについてはシラーであればフランス、シラーズであればオーストラリアとしましょう。

 

結論2割、表現8割の意味

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験の二次試験は配点が発表されていて、ぶどう品種や収穫年、生産国などの結論はおおむね2割、それ以外の表現は8割ということがわかっています。

また、経験上、二次試験の合格点は全体の6割の正解で、全部の品種を外しても合格できるという、いわゆる足切りの無い試験であることがわかっています(今年度の試験はどうなるかわかりません)。

これは何を意味するのかを検討してみましょう。

 

出題が、

白はシャルドネ、リースリング、ソーヴィニョンブラン、

赤はカベルネ・ソーヴィニョン、ピノノワール、シラー、シラーズ

に大きく寄っていますが、これらは「多くの受験生が外さない品種」だから出題しやすい、と読むこともできます。

仮にこれらを受験生全体の半分が当てる品種としましょう。

 

結論は2割の配点だから、2割の半分は当たる当たらないの分かれる配分にしよう。

そうなるとわかりやすい品種を出題して、当たらなかった人にはプレッシャーがある状態、という難易度を作ろう。

こういう難易度の調整をしている可能性もあります。

 

では、仮に次のようなワインが出題されたとイメージしてください。

①チャコリデアラバ(オンダラビズリ)

②リースリングリオン

③VIGNO カリニャン

④エトナロッソ(ネレッロマスカレーゼ)

 

こうなるとおそらくほとんどの人は品種は外すだろうし、解答は割れるので、受験生には「そんな過去問であればメジャー品種をトレーニングしても意味がない」という雰囲気が流れるでしょう。

中にはあてっこゲームに走る人も出てくるかもしれないですし、メジャー品種のトレーニングを軽んじるひとも出てくるでしょう。

こうなると試験そのものの権威性も怪しくなってきます。

 

試験とはいっても主催者側にすればビジネスなので、権威性の低下は絶対に避けたいテーアです。

そのため受験生に「やっても無駄」「この試験は運」という雰囲気は作れない事情「も」存在します。

つまり、出題側の心理としても、メジャー品種は出題に欠かせないし、マイナー品種で出題を埋めるということは試験の経済合理性からも悪手になるのです。

 

ブドウ品種を広げるリスク

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験におけるテイスティングは、単に多くのワインを試すだけでなく、基礎的な知識と技術がしっかりと身についているかを確認する試験です。

試験の目的は、受験者がワインの基本的な特性を正確に判断できているかどうかを評価することであり、過度に多様なワインのトレーニングをさせることが必ずしも目的とは合致しません。

 

むしろ、あまりに幅広いワインを試すことは、受験者の感覚を混乱させ、重要な特徴を見逃す可能性があるため、ノイズとなりかねません。

主催者側にとっても、過去の出題傾向を分析すると「過度に幅を広げるよりも、基礎をしっかりしてほしい」というメッセージが感じ取れます。

 

テイスティングのトレーニングでは、典型的なスタイルのワインを選び、その香りや味わいの特徴を理解し、表現をマスターすることが推奨されます。

これにより、試験で出題されるワインの特性を正確に捉える力が養われます。

主催者側の考えるテイスティングの基本の再現性がソムリエ試験・ワインエキスパート試験の成功への近道であり、無駄なノイズを排除することで、効率的かつ効果的な学習が可能となります。

 

「多くの品種をテイスティングたほうがいい」のアドバイス

ソムリエ試験に合格した人やワインスクールが「できる限り多くのブドウ品種をテイスティングしたほうがいい」とアドバイスすることがあります。

しかし、このようなアドバイスは必ずしも受験者にとって最も効果的な学習方法であるとは限りません。

むしろ、こうした推奨は、合格者自身の経験やスクールの権威を誇示したいという心理から来ている場合もあります。

 

多くのブドウ品種を試すことは、確かにワインの知識を深めるためには有益です。

しかし、ソムリエ試験のテイスティングでは、基礎的な品種やスタイルの理解が重要であり、過度な範囲のテイスティングがかえって混乱を招くこともあります。

したがって、試験の準備においては、典型的な品種やスタイルに焦点を当て、しっかりとした基礎を築くことが優先されるべきです。

 

「できる限り多く」というアドバイスは、合格者やスクールが自身の経験を正当化し、権威を示す手段として用いられていることが少なくないのです。

実際には、質の高い学習と的確なトレーニングが成功の鍵であり、過度な量を追求することは必ずしも有効とは言えません。

 

ブドウ品種の幅を広げるのは「完全に」無駄なのか?

では、ソムリエ試験・ワインエキスパート試験のテイスティングトレーニングにおいて、ブドウ品種の幅を広げることが完全に無駄であるかと言われればそれも違います。

むしろ、適切な範囲での多様なブドウ品種の理解は非常に有効です。

 

特に、「そのワインのカテゴリーを知る」ことは、テイスティングスキルを向上させる上で重要です。

例えば、ニュートラル系のブドウ品種にはどのようなものがあり、どのような特徴を持ち、どのような場面で使用されるかを知ることで、そのカテゴリに属する他のワインとの比較が容易になります。

また、アロマティック系、樽熟成系、フルボディやライトボディといったカテゴリを理解することで、それぞれのワインが持つ特有の香り、味わい、テクスチャーの違いを識別しやすくなります。

 

これにより、試験で出題されるワインのスタイルや特性を正確に捉える力が養われ、ブラインドテイスティングにおける判断力が向上します。

カテゴリ分けに基づいた幅広い品種の経験は、ソムリエとしての総合的なテイスティング能力を高めるための効果的なアプローチです。

 

カテゴリ分けの重要性

ソムリエ試験・ワインエキスパート試験のテイスティングにおいて、ブドウ品種を特定することは重要ですが、それ以上にワインを適切にカテゴリ分けする能力が重要です。

ニュートラル系、樽熟成系、アロマティック系、フルボディ、ミディアムボディといったワインのカテゴリを正確に理解し、分類できることが、テイスティングでの成功につながります。

これらのカテゴリ分けができない場合、ワインの特性を正しく表現するためのアプローチを最初から外すことになります。

 

表現を根本から間違えれば、配点の8割を占める表現を大きく落とすことを意味します。

表現を大きく落とすことがいかにリスクの高いことであるかはここまで読んだあなたであればわかるはずです。

 

たとえば、アロマティック系のワインには特有の香りや味わいの特徴がありますが、その理解が不十分だと、表現が曖昧になり、評価が一貫性を欠くことになります。

同様に、フルボディやミディアムボディのワインの口当たりやテクスチャーの違いを認識できないと、ワインのスタイルを正確に把握することが難しくなります。

 

品種の特定「だけ」にこだわるのは、試験ではなく競技やゲームの感覚です。

ワインのスタイルやボディ感、香りの特徴に基づいて体系的にワインを分類する能力を養うことが、試験においても、実際のソムリエやワインエキスパートとしても、より実践的で有用です。

このようなカテゴリ分けは、テイスティングの基本であり、深い理解を通じて表現力を高める鍵となります。

 

まとめ 分析による適切なトレーニング

いかがでしたでしょうか。ここまでソムリエ・ワインエキスパート二次試験の過去問の分析と適切なトレーニングとは?について解説しました。

まとめますと、

 

①過去の出題から、ぶどう品種は4~5種類に偏っている

②ブドウ品種のトレーニングは、

白:シャルドネ(ステンレス・樽)、ソーヴィニョンブラン、リースリング、甲州

赤:カベルネソーヴィニョン、ピノノワール、シラー、シラーズ

を中心に行う

③ブドウ品種は過度に広げすぎない

④「もっと広げたほうがいい」のアドバイスは気にしない

⑤広げる場合はカテゴリ分けに注意してトレーニングする

 

をしっかりとおさえましょう。

 

ソムリエ・ワインエキスパート二次試験のテイスティングに進む皆さん。

ここまで来た皆さんは、基礎的な知識と技術をしっかりと身につけているはずです。

自信を持って挑んでください。

 

試験では、焦らずに一つ一つの香り、味わい、テクスチャーを丁寧に確認し、何が問われているのかを適切に表現することが大切です。

過度に多くの情報を詰め込むのではなく、ある程度俯瞰視し、それを適切に伝えることが成功の鍵となります。

 

皆さんの努力が実を結ぶことを心より願っています。

頑張ってください。


 

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