ワインのアロマ化合物とそれぞれの分類

【最終更新日】2024年7月18日

ワインのアロマ化合物は、ワインの香りと風味の複雑さを形成する重要な成分です。

これらの化合物は、ブドウの品種、栽培環境、発酵プロセス、および熟成方法によって大きく影響されます。

 

第1アロマ化合物は、ブドウ自体から由来します。

代表的なものには、テルペン類(ゲラニオールやリナロール)があり、これらは主に花や果物の香りを提供します。

 

第2アロマ化合物は、発酵中に生成されます。

酵母が糖をアルコールに変換する際に生成されるエステル(酢酸エチルや酢酸イソアミル)は、バナナやパイナップルの香りを生み出します。

また、アルコール発酵は、バラやアーモンドの香りを与えます。

 

第三アロマ化合物は、ワインの熟成過程で発展します。

オーク樽での熟成により、バニリンやオークラクトンといったフェノール化合物が抽出され、バニラやスパイスの香りをもたらします。

 

これらの化合物は相互に影響し合い、複雑でバランスの取れた香りを形成します。

ワインの香りを評価する際には、これらのアロマ化合物の存在とそのバランスを理解することが重要です。

 

*この記事は、WBSワインブックススクールの代表前場が、インスタグラムに毎日投稿するソムリエ・ワインエキスパート試験のお役立ち情報を抜粋し、スタッフが記事にしています。

【過去の記事はこちら】

 

ワインのアロマ化合物とそれぞれの分類

【練習問題】

次のアロマ化合物のうち、一般的に第3アロマに属するものをすべて選んでください。

① Vanillin

② Rotundone

③ Furaneol

④ Geraniol

⑤ Linalool

 

ぼくはよく、テイスティングの目的は「他者とのコミュニケーションツールです」と言っています。

テイスティングを学ぶことで、インポーターやソムリエのコメントを聞くだけである程度「あ、このワインのことを言っているんだな」というのが分かるようになります。

今回の問題は、まずはアロマ化合物と香りの連動と、そのアロマ化合物がどのアロマの分類が問われています。

第1アロマは果実由来

第2アロマは発酵由来

第3アロマは熟成由来

が基本ですが、では、

これと香りを連動させるにはどうすればいいか?

ワインがどう造られるのかを理解しないと回答できません。

 

↓回答はインスタ投稿のした↓

 

【回答】① Vanillin

この問題はアロマ化合物の理解と、さらにそれらがワイン造りとどう連動しているのかがわからないと回答できない問題です。

そして、多岐選択式で「すべて選んでください」とされているのに正解の選択肢が一つという心理的なトラップも隠されています。

今年度の受験生は、こういう出題もありうるというオプションは持つようにしておきましょう。

 

第3アロマは熟成由来の香りということが分かったうえで熟成にもいくつかのフェーズがあることをおさえましょう。

基本的には

①瓶詰前の樽での熟成

②瓶詰め後の熟成

があります。

 

瓶詰前に樽熟成をすればヴァニラ、トーストの香りが

シュールリー製法によってイーストの香りが

 

瓶詰め後は穏やかな酸化熟成によってさらに複雑になり、

 

皮や腐葉土、モカなどの香り

 

に変移します。

これらを時系列で押さえられるようになると、より一層ワインが楽しくなります。

 

テイスティングと他者の尊重

最後に、テイスティング用語の学習のうえで、やはり他者の尊重というポイントはしっかりとおさえておくべきです。

ワインテイスティングにおいて他者とのコミュニケーションを円滑に進めるためには、いくつかのポイントに注意することが重要です。

 

1. 礼儀と尊重:

他者の意見や感想を尊重することが基本です。

ワインの味や香りに対する感じ方は個人差が大きく、一人ひとりの感覚が異なることを理解し、他人の意見を否定せずに受け入れる姿勢が求められます。

 

2. 言葉の選び方:

専門用語を使いすぎず、わかりやすい言葉で説明することが大切です。

特に初心者と一緒にテイスティングをする場合は、難しい用語や専門的な知識を押し付けず、親しみやすい表現を心がけましょう。

 

3. 観察と共有:

自分が感じた香りや味わいを具体的に言語化して共有することが重要です。

例えば、「このワインには柑橘系の香りが強く感じられる」といった具体的な表現を用いることで、他者が自分の感覚と比較しやすくなります。

 

4. オープンマインド:

自分の好みや経験に固執せず、新しいワインや異なるスタイルのワインにもオープンな態度を持つことが重要です。

多様なワインを試し、それぞれの特徴を楽しむ姿勢が、他者とのコミュニケーションを豊かにします。

 

5. 積極的な質問:

他者の意見や感想に対して積極的に質問をすることで、会話が活性化し、より深い理解が得られます。

「このワインのどの部分が特に好きですか?」や「他に似たようなワインを知っていますか?」といった質問は、会話を盛り上げる助けとなります。

ただし、質問する際には相手の理解度やフェーズをとらえるようにしたいものです。

 

これについてはワインの理解がある方が少ない方へ気を使えることが大事ですし、逆の場合も言葉を選ばないと攻撃的に映る可能性もあります。

ここは慎重になるところも出てきます。

 

6. 環境の整備:

静かでリラックスした環境を整えることも、良いコミュニケーションには欠かせません。

騒がしい場所や不快な状況では、集中してワインの特性を感じ取り、共有することが難しくなります。

 

 

これらのポイントを押さえることで、ワインテイスティングは単なる個人的な体験から、知識や感覚を共有する楽しいコミュニケーションの場へと進化します。


 

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