購入後【2024年試験版】ソムリエ試験 論述試験対策講座

【最終更新日】2024年10月7日

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こんにちは。WBSの前場です。

この記事ではソムリエ試験の三次、論述試験の対策を具体的に紹介しています。

 

最初に記事の根拠のために簡単に自分のことをお話しさせていただきます。

 

僕はワインジャンル最大規模のユーチューブチャンネル”ワインブックス”を運営しています。

30歳の時に国内のソムリエコンテストで優勝し、その後にワイン界を離れ、4年ほど前に復帰をしました。

また、個人では行政書士という法律職を務めており、行政と民間の間に入って難解な申請書や意見書を提出する立場でもあります。

 

ユーチューブチャンネルでは、「いかにコンパクトにまとめて情報を的確に、かつ、できれば楽しく」見てもらえることを念頭に毎回シナリオを一字一句書いています。

そうしないと余計な時間を視聴者様に過ごさせてしまうし、時間に厳しい現代人において「あのチャンネルは無駄が多い」と思われてしまうことにもなりかねません。

 

また、行政書士の業務では市民の声を文章にし、これを行政庁に提出するということを行っております。

この際に法的に整合性がなかったり、文章がまとまっていなかったり、事実と願望がごっちゃになっていたりすると行政官の心証を損ねてしまいます。

こうなると最悪な場合依頼人に不利益をもたらす可能性もあるため、文章の作成には最大限の注意を払うことになります。

 

このような立場であることから、ソムリエ試験の論述試験では自分以上の適任は、そうはいないと考えています。

 

通常、文章を書くときに「何がいい文章なのか」をわからずに書くことがほとんどです。

当たり前でしょう。「いい文章とは」をそもそも教わっていないのですからわからないのが当たり前です。

 

しかし、ひょっとしたらあなたは気づいているかもしれません。

ここまでのこのページを読んで、なぜかするすると先に読み進められて、ここまで一気に読み込んではいないでしょうか?

 

ふつうここまでの情報量の場合は読み込むのが大変で、ブラウザバックをするか、あるいはスマホを閉じてしまうこともあるでしょう。

しかしあなたはここまで休まずに読み込んでくれた。これが「いい文章」なのです。

 

気を付けていただきたいのが、なにが「いい文章」で、なにが「悪い文章」なのかは読み手が決めるということです。

このページの読み手はあなたではありますが、本番の試験では当然読み手は試験官ということになります。

つまり、試験官にとっての「良い文章」を書くのが合格の秘訣ということになります。

 

試験に合格するにはあなたの情熱の熱量とかは問われていません。

単純に試験で得点が取れる文章が良い文章ということになります。

残酷なようではありますが、あなたの思いが詰まった文章はこの際求められていないし、そもそも問われていない。

これが現実なのです。

 

非常に厳しいことを申し上げておりますが、あなたが望んでいる言葉は大衆迎合した手ぬるい言葉ではなかったはずです。

ここはトレーニングの前にしっかりと受け入れて、先に進みましょう。

 

 

では、文章を書く前の心構えができたとしましょう。

ですがいきなり筆を持つのはもう少し読み進めてからにしてください。

 

いきなり文章を書けと言われても、ふつうは日記に毛が生えた程度の自分の感想や思いを書くのがやっとでしょう。

しかしこれでは試験はおぼつきません。

あなたは試験に合格しないといけないので、これでは先が思いやられます。

 

ただし心配は無用です。

この記事を何度も読み、意図を理解したうえで適切にトレーニングをすれば、だれでも合格点に足りる文章は書けるようになります。

WBS生であれば毎年の9月には毎週、論述試験対策の特別講座があり、おかげさまでほぼ100%の通過率となっております。

 

この記事はWBSのクローズコンテンツとなっており、後半部分は一般会員様でないと閲覧できないようになっています。

また、リンクには予想問題と模範回答集もあり、これもWBS生様のみのクローズコンテンツとなっております。

しかし、WBS生でなかったとしても、購入することで最後まで閲覧できますので、この記事のリンクをご参考ください。

 

文章は、何度も書かないといい文章は書けません。これは自分でも感じたことですし、多くの受験生を見てきたので事実といっていいでしょう。

ただし、なにごとにも方向性は重要で、書く前に「何が良い文章なのか」をしらないといけません。つまり方向性です。

方向性が合えば最短で合格に足りる文章を書きこむことができるようになります。早い人で2週間もあれば十分でしょう。

 

しかし、逆に方向性を間違えてしまうと努力の量は多いのに結果が伴わないということにもなりかねません。

最悪な場合、明後日の方向で努力をしてしまい、努力をすればするだけ合格から遠のくということになってしまいます。

あなたはこうなってはいけません。せっかくWBSの記事と出会ったのですから。

 

大変に長いコンテンツではありますが、何度も読み込み、「なぜこのようになっているのか」までを理解して、そして文章を書いていきましょう。

WBSでは3次試験直前でのご参加もお待ちしております。

月額2200円のみ。入会金も会員維持費用も必要ありません。

 

特別講座だけのご参加の方も多いので、ぜひお待ちしております→

 

それでは行ってみましょう。

 

WBSの論述試験対策講座

結論、何が出題されるかは当日にならないとわからない

ポップ作成の基本とポイントはこちら→

最初にどうしてもここは触れておきたいところですが、記述式については現在過渡期で、「これが出題される」という傾向が読みづらいのが現状です。

2023年度試験はテイスティング試験で提供されたワインのPOPを書く、という設問でした。

2023年度論述試験採点項目はこちら→

 

おそらく2023年度試験の受験生はかなり驚かれたはずですが、これこそまさに「考えて学習する」が生かされる出題です。

与えられた課題をこなす受け身の学習ではなく、自分で考えて、仮説を立てて、実行するという主体的な学習をする癖をつけておけば何の問題もありません。

主体的な学習をしていたかたにとっては大きく動揺することなく、淡々とやるべきことをPOPに記載した結果、合格しているようでした。

 

基本的にはPOPであろうが通常の論述であろうが、「出題側は何を求めているのか」をしっかりと検討し、それを記述すればいいということになります。

ここについては他人が作った練習問題とその回答を覚えるだけの表面的な学習ではなく、「なぜそうなるのか」を理解しないと解決ができません。

しっかりとこのページを読み込み、「何が問われているのか」をふまえながら学習するようにしましょう。

 

さて、ここからいよいよ核心部分に入っていきます。

 

なぜ論述試験があるのか

論述試験は、例年1問200文字程度で3問の出題に30分で回答することが多いです。

試験は筆記形式なので鉛筆又はシャーペンで横書きで記載します。

 

ソムリエ試験は暗記に偏りすぎてしまうため、試験内容に一定の批判は以前からありましたが、大なり小なりこれを反映させたものと考えて間違いありません。

飲食店で勤務するソムリエにとって最も重要なのは、暗記した情報をいかに応用するか、いかにその場で対応させるかです。

暗記だけで終わってしまい、お客様にワインの魅力を語れないソムリエは時代とはなじみません。

そのため論理的な思考、その場で回答する応用力を問うということが論述試験の趣旨と考えるのが無難です。

 

そのうえで、飲食店勤務の受験生が、文章を書くことがどれだけのハードルなのかも出題者側は理解しています。

そのため完璧な回答はしばらくのうちは求められないと考えましょう。

文字を書くことに慣れていなくても、丁寧に書き、殴り書きにならないように注意しましょう。

 

例年横書きでマス目がある回答用紙に記入をすることになります。

横書きなのに縦に書いてしまうようなことはないようにしましょう。

(当たり前ですが逆に縦に書いてくれと言われているのに横に書くのはダメです)。

 

論述試験は2016年から開始しました。例年二次試験と同時に行われます。

 

↑論述試験解答用紙のイメージ

PDFはこちら→

 

ソムリエ論述試験 予想問題と模範解答はこちら→

 

 

どのようにして採点をしているのか?

ソムリエ協会側から採点基準や採点方法は発表されていませんが、試験である以上数値化させなければ試験として成り立ちません。

そのため何らかの基準を設けているはずなので、それを検討することになります。

通常この手の設問はどの資格試験であっても以下のような採点基準を設けています。

 

・設問通りに回答しているかどうか?

→文字数が制限されているのにそれをオーバーしてしまう

横書きを指定されているのに縦書きをしてしまう

 

・キーワードは盛り込まれているか?

→exシャブリをお客様に説明するのであれば

”ブルゴーニュ地方””シャルドネ種””辛口””さっぱりした”などのキーワードを文章に盛り込めているかどうか

 

・文章として成り立っているか?または読みやすいかどうか?

→事実と意見、願望がごっちゃになっていないか

設問に真正面から返答できているかどうか

 

どの資格試験でも通常はこれらが採点基準になります。

そのうえで、ソムリエ試験ならではの基準として

 

・返答相手はだれなのか?

→「お客様に説明してください」「ワインを始めて飲む人に説明してください」という設問なのに断定口調で説明する

初めてのお客様なのに専門用語ばかり並べてしまう

 

・完全にわからない質問であったとしてもなんとか回答する姿勢を見せる(対応力)

→絶対に白紙では提出しない

 

これらはすべて仮説でしかありませんが、このように採点しないと極端な話、採点者が気分で点数をつけることになってしまいます。

資格試験である以上、この程度はかならず検討されているはずです。

後述しますが、発表された模範解答からもおそらくこのような採点基準だととらえて間違いないでしょう。

 

過去の出題

2016年

・「赤ワインを冷やして飲みたい」というお客様にどのようなお料理をお勧めするか説明していください。

・テイスティング試験で出題された1番目のワインの味わいについて、ワインを始めて飲むというお客様に説明してください。

・ひやおろしとはなにか、説明してください。

 

2017年

・テイスティング試験で出題された1番目のワインに合わせるお料理を提案してください。

・オレンジワインについて説明してください。

・2018年10月30日施行予定のワインラベル表示システムについて説明してください

 

2018年

・テイスティング試験で出題された2番目のワインに合わせる料理と、その理由について説明してください。

・ジョージアワインについて200文字以内で説明してください。

・2015年より日本のワインの輸入量のトップになったチリワインの今後の展望について説明してください。

 

2019年

・テイスティング試験で出題された1番目のワインについて、ワインを始めて飲むというお客様に説明してください。

・ケソ・マンチェゴについて説明して下さい。

・日本の葡萄酒、ワインの地理的表示について説明してください。

 

2022年

・3番目のワインについて、ワインに合う料理を説明してください。

・ロゼワインの製法の違いと、楽しみ方を説明してください。

・ワインの熟成保管には何が影響するのかを説明してください。

 

2023年

・テイスティング1番目のワイン(ボルドー、ソーヴィニョンブラン)をワインショップにおくときのPOPを作成してください。

・オーガニックワインについて説明してください。

・ワインと料理のペアリングを検討する際のポイントを説明してください。

 

2024年

・あなたはスーパーのワイン販売担当です。1番目のワインを1か月間プロモーションすることになりました。具体的な案を記述してください。

・チーズが好きなお客様へ、どのようなワインをお勧めするかを記述してください。

・日本のGI制度について、ぶどう酒以外の品目について記述してください。

 

出題傾向の分析

このように検討してみますと、3問のうち

①テイスティングに合わせた出題→自由度が高く、「全くわからない」ということが「ない」出題

②一つのテーマに絞った出題(国外)→自由度は少ない反面、「全く分からない」ということが「ある」出題

③一つのテーマに絞った出題(国内)→自由度は少ない反面、「全く分からない」ということが「ある」出題

 

となっていることが多いです。ただし②③はどのような構成になるかはわかりません。

そのうえで、まずはWBSの模範解答を見てみましょう。

 

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2024年度の模範解答

・あなたはスーパーのワイン販売担当です。1番目のワインを1か月間プロモーションすることになりました。具体的な案を記述してください。

1番目のワインは、さっぱりした酸味のさわやかなワインです。スーパーでのプロモーションですので、販売員がワインの爽やかな酸味やフルーティーな香り、料理とのペアリングについて説明することで、購入意欲を高められます。

さらに、期間限定の割引や特典を提供し、購買意欲を喚起します。また、SNSなどを活用したキャンペーンも効果的です。特に若年層には、SNSを通じてプロモーションを広めることで、購買意欲を誘うことが可能です。

このワインを料理に使ったレシピを提供することや、気軽な家庭料理とのペアリングを提案することで、家庭での利用シーンを具体的にイメージさせ、購入を促します。

 

・チーズが好きなお客様へ、どのようなワインをお勧めするかを記述してください。

チーズとワインは合わせていただくことで美味しさがより一層引き立ちます。白ワインではフルーティーな味わいとさわやかな酸味が特徴のリースリングが、特にクリーミーなチーズと相性抜群です。また、軽めの赤ワインであれば、ピノ・ノワールがよい選択です。果実味が豊かで、酸味が控えめなため、さまざまな種類のチーズに合います。

さらに、スパークリングワインやロゼも、ねっとりしたチーズとのバランスが取りやすく、食事の場を華やかにしてくれます。

ワイン選び方が難しい場合でも、気軽な価格帯の、軽やかでバランスの良いワインを選ぶとチーズとのペアリングで失敗が少ないです。

 

・日本のGI制度について、ぶどう酒以外の品目について記述してください。

日本の地理的表示(GI)制度は、特定の地域で生産され、その土地の特性を反映した品質や評判がある農産物や食品を保護する制度です。日本の葡萄酒以外の分野では、例えば清酒や焼酎もGIに指定されています。

日本酒では、「灘」「伏見」「山形」などがGIに指定されています。これらの地域は独自の自然条件と伝統的な製法を持ち、その土地特有の味わいが評価されています。

焼酎については、「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「薩摩焼酎」などがGIに登録されています。

それぞれの地域で使用される原材料や製法が違い、焼酎の風味や香りが地域ごとに異なることが特徴です。GI制度は、こうした独自の地域性を守る役割を果たしています。

 

2023年度の模範解答

・テイスティング1番目のワイン(ボルドー、ソーヴィニョンブラン)をワインショップにおくときのPOPを作成してください。

→初めての文章以外の出題でした。

基本的にはコンビニワインの裏面にあるように味わいをわかりやすく図で表示したり、味わいを端的に、キャッチーに表現することで問題なく回答できます。

生産地域、味わいのざっくりした印象、ブドウ品種、味わいを表現した図を描くことが模範的に回答になるはずです。

 

・オーガニックワインについて説明してください。

オーガニックワインは、できる限り自然に近い形でブドウを栽培し、ワイン造りをする製法のことです。ぶどう栽培の際の化学肥料や遺伝子組み換え、ワインを醸造する過程での化学薬品や添加物などの使用が一般的なワインよりも制限されています。各国にはオーガニックを名乗るための認証制度があり、フランスではECOCERT,ドイツではdemeterなどがあり、通常のワインよりも厳しい制限の元、ブドウ栽培とワイン造りが行われています。

 

・ワインと料理のペアリングを検討する際のポイントを説明してください。

ワインと料理のペアリングは、①味わいでの相性②ワインと料理の地方性③ワインと料理の格を合わせる などのポイントがあります。味わいの相性についてはワインの香りや酸味や渋み、果実味などをもとに、料理の味わいと合わせる手法です。また、特にヨーロッパではワインは伝統と歴史があるため、その地方にはその地方の料理とワインを合わせる文化が根付いています。さらに、料理とワインは価格を合わせることでレストランでも、ご家庭でも違和感なく合わせることができます。

 

2022年度の模範解答

・3番目のワインについて、ワインに合う料理をワインに詳しくないお客様にお勧めしてください。

こちらのワインは色が濃く、渋みが強く、骨格のしっかりしたのフルボディタイプの赤ワインです。香りもスパイスの印象が強く、樽の風味も感じます。味わいが強めなので、お料理も素材の風味の強い濃い味付けのものがよろしいかと思います。仔羊肉のグリルにバーベキューソースを添えたものや、リブロース肉の炭火焼きなどをお勧めします。

 

・ロゼワインの製法の違いと、楽しみ方を説明してください。

ロゼワインにはおもに、黒ブドウを収穫後、強めに圧搾して色素をだす直接圧搾法と、若干の果皮接触をした後に圧搾をするセニエ法があります。直接圧搾法は白ワインに風味が近いため、冷やし気味にして小ぶりのグラスに注いで飲むのがいいと思います。セニエ法は皮からくる赤ワインの様な風味もありますので、やや高めに温度を設定し、ふくらみのある香りや味わいを楽しめると思います。

 

・ワインの熟成保管には何が影響するのかを説明してください。

ワインをセラーで熟成させる場合、温度と光、振動、湿度がワインの熟成に影響を与えます。光や振動は過度にワインに与えるとワインに劣化をもたらすとされています。湿度はコルクの感想を防ぐために必要で、乾燥した環境でストコルクが劣化をして、結果としてワインに悪影響を与える可能性があります。また、温度は熟成の進み具合に影響するとされています。一般的には温度が高めですと熟成は早く進み、温度が低めだと熟成はゆっくり進むとされています。

 

 

では次に2019年度の模範解答です。

2019年度の模範解答

【論述問題 1 】
ワインを初めて飲むというお客様に、テイスティング試験で供出された 1 番目のワインの味わいを 200 字以内で説明してください。

模範解答例:
1番のワインの味わいを一言で表すならば、‘スッキリ’です。レモンなどの柑橘類を食べた時のような溌剌とした清涼感あふれる酸味が特徴で、レモンなどの柑橘類を絞って食べたくなるような料理との相性がとても良いと思います。

キーワード:すっきり、レモン、かんきつ類、はつらつ、清涼感あふれる酸味、料理との相性

 

 

【 論述問題 2 】
「Queso Manchego」について 200 字以内で説明してください。

模範解答例:
Queso Manchego(ケソ・マンチェゴ )とはスペインを代表する非加熱圧搾タイプの羊乳を使用したチーズである。ラマンチャ発祥のチーズのため、同地方の白ワイン、赤ワインとの相性が良く、フィノタイプのシェリーなども相性が良い。

キーワード:スペイン、代表する、非加熱圧搾タイプ、羊乳、チーズ、ラマンチャ、ワインとの相性

 

【 論述問題 3 】
日本における「ぶどう酒/ワイン」の地理的表示について説明してください。

模範解答例:
日本において「ぶどう酒」の地理的表示は山梨と北海道の 2 箇所のみが指定されています。この地理的表示は消費者に分かりやすい統一表示として、容器や包装に表示する場合、使用した地理的表示の名称のいずれか一箇所以上に「地理的表示」、「Geographical Indication」「GI」の文字を併せて使用します」。これは平成 29 年 10月 30 日以降に使用する地理的表示から適用された、地理的表示の表示ルールです。

キーワード:地理的表示、山梨、北海道、2か所のみ、表示方法、「地理的表示」「Geographical Indication」「GI」、平成29年10月30日以降

 

ここからわかる通り、200文字は文字数としては少なく、そのため細かい知識は書こうと思っても書けません。

設問①②については総論をまとめるだけで文字数は到達してしまいます。

また、「お客様への回答」なのか、それとも「審査員への回答なのか」で言い回しや言葉の選び方が若干違うことがわかります。

 

設問③については文字数の制限はありませんから、知識をフルに説明文に反映させることになります。

 

先ほどどのようにして採点をしているのかを検討してみましたが、模範解答を見る限り完全に推測どおりに回答されていることがわかります。

 

回答の検討

このように模範解答を検討すると、「とてもこんなきれいに書ききれない」と感じるのが普通です。

日ごろ飲食店で勤務する受験者の特性や過去の傾向を検討すると、完璧に回答するのは現実的に考えて出題側もできないだろうととらえているはずです。

そのうえで、

・設問①のようにテイスティングと絡めた自由度の高い設問では、

ワインのイメージをまずはざっくりと解説し、キーワードを想定します。

お料理との相性を問われていれば、一品提案し、その概略を説明する。

ここは必ず200文字を埋めましょう。

 

・設問②のように知識を問われる場合は、わかる範囲のキーワードを詰め込み、これをできる限り簡潔に説明する。

exケソ→チーズ このスペイン語がわかれば、マンチェゴがわからなくても「スペインのチーズ」ということがわかります。

 

・設問③の様な知識をフルに回答する場合は、わかるキーワードをまずはまとめて、これをできる限り文章に落とし込む

 

これで不合格は避けられると考えていいでしょう。

 

やってはいけないこと

逆に不合格になるような場合とは、

・全くの白紙

・全くのでたらめ

です。

もっとも、論述試験がどのような採点方式になっているのかはブラックボックスなので、仮に論述が0点でも合格になる可能性はあります。

ただし、論述試験の趣旨を検討すると、受験生の応用力やその場での対応力を計るという点からもわからないからといって投げだすようでは趣旨に反することになります。

白紙やでたらめの場合、最悪な場合誠実さに欠けるという評価を受ける可能性もある、ということです。

 

実際の問題の解き方

それでは、実際の仮想問題に取り組んでみましょう。

具体的にこのように進めれば完璧に近い回答が書けるはずです。

 

【設問】

ワインを初めて飲むというお客様に、テイスティング試験で供出された 2番目のワインの味わいを 200 字以内で説明してください。

 

これは2019年の設問とほぼ同じですが、このワインを仮にキャンティクラシコであったとしましょう。

ただしこの段階(論述試験本番)ではキャンティクラシコであるかどうかはわかりません。

そのためどれだけ自信があってもキャンティクラシコとは書きません。

まずはキーワードを上げてみましょう。

 

この手の設問のポイントは、

①味わいの全体像②合わせる料理③飲み方

この三つで十分に回答が記入できます。

 

味わいの全体像としては、

・ミディアムフルボディ

・渋みのしっかりした

・ややスパイシーな

・果実味と渋みのバランスがいい

・黒いフルーツのような果実の香り

 

これくらいがまずは思い浮かぶはずです。

 

さらに、ソムリエ試験ですからお料理との相性も検討することになります。

↑のキーワードを検討すると、

・牛赤身肉のステーキ

・熟成したチーズ

・ラムチョップの炭火焼き

・豚肉の角煮

などが挙げられます。

 

そして、もう少し視野を広げると、一般のお客様であれば「どう飲めばおいしいの?」に強く興味を持っているはずです。

・室温よりもほんの少し冷やして飲む

・ちゅうぶりなチューリップ型のグラス

・ご家庭でも十分に楽しめます

これらは文字数が余ってしまうときに使えますので、念のため押さえておきましょう。

 

それでは、これらを文章にしていきましょう。

設問は「ワインを始めて飲む」かたに向けてのものですから、丁寧語を使い、専門用語は避けます。

また、2番目のワインに指定されていますから、出だしは「2番目のワインは~」からで問題ありません。

 

①2番目のワインは、全体像をお伝えするとミディアムボディで、渋みのしっかりした、ややスパイシーな赤ワインです。(64文字)

②お料理をお勧めしますと、例えば牛赤身肉のステーキや子羊肉の炭火焼きがよろしいかと思います。(44文字)

 

これでおおむね半分以上かけました。では、さらに完成度を上げていきましょう。

①のようなワインの魅力とはどのようなものか

②とのマリアージュはどのようなものか

これだけで完成度は一気に高まります。

 

①であれば

しっかりしながらも滑らかな渋みを楽しめます。(25文字)

 

②であれば

ほんのりとしたスパイシーな香りと赤身肉の風味がよく合います。(30文字)

 

これだけで問題ありません。ではこれらをつなげていきましょう。

 

2番目のワインは、全体像をお伝えするとミディアムボディで、渋みのしっかりした、ややスパイシーな赤ワインです。しっかりしながらも滑らかな渋みを楽しめます。お料理をお勧めしますと、例えば牛赤身肉のステーキや子羊肉の炭火焼きがよろしいかと思います。ほんのりとしたスパイシーな香りと赤身肉の風味がよく合います。

 

いかがでしょうか?これだけで自信をもって提出できる論述の完成です。

最初のキーワード選定ができれば、そのあとは自然に回答まで導き出せるということがお分かりになったかと思います。

 

なお、「です」「ます」調なのか、「でございます」にしたほうがいいのかは考えるところですが、模範解答を見る限り「です」「ます」調でいいということを示しています。

また、文字数にも制約が出てきますので、深く考えずにですます調で行きましょう。

また、最上位の敬語も必要はないです。

 

試験で最も必要なメンタル「わからなくても埋める努力」

では、ここまででソムリエ論述試験の書き方と「何が良い論述なのか」について解説しました。

ただし、おそらくあなたは「ずいぶん優等生的なことを言っているな」と思ったかもしれません。

もともと文章が書ける、もともと分析力も判断力もある人のためのテキストじゃないか、こう思った人もいるはずです。

 

これについては当初より予定していたことですし、僕自身も飲食店でソムリエをしていた時は文章を書くのは決して得意ではありませんでした。

多くのソムリエ試験受験者は飲食店で勤務し、文章で伝えるのは苦手なはずですし、そうなるとここまでの理屈は現実味を伴わない理想論に聞こえる人もいるでしょう。

全くその通りです。大変申し訳なく思います。

 

ですので、ここからはもっと現実に沿って、「何を書けばいいのかわからない人が、どうすれば落ちない論述を書くことができるのか」について触れてみたいと思います。

それはずばり、「わからなくても何とか埋める」に尽きます。

 

わからないからとはなからあきらめてしまい、白紙答案の場合と、わからなくても何とかくらいついて書き上げた論述、あなたはどちらを評価しますでしょうか?

もちろん後者の方は字も汚いだろうし、まとまっていないだろうし、内容も明後日の方に向いているはずです。

ただし、前者は、白紙答案の場合は基礎点がない場合は自動的に0点になりますが、後者は部分点をもらえる可能性があります。

そのため、「わからなくても必ず埋める努力をする」は論述試験において必須のメンタルなのです。

 

具体的な文字の埋め方

では、全くわからない場合の文字の埋め方について解説します。

それが、「問題文をそのまま埋め込んでみる」です。

 

過去問の

・ロゼワインの製法の違いと、楽しみ方を説明してください

を例にとりましょう。

 

ロゼワインの製法の違いが全く分からなかったとしても、問題文から「ロゼワインの製法の違い」「楽しみかたを説明」の二つは書くことができます。

 

ここから、

「ロゼワインにはいくつかの製法の違いがあります。ロゼワインの楽しみ方を説明すると、白ワイン同様良く冷やして、気軽な雰囲気のパーティーや、テラス席でのグラスワインにお勧めです。」

何もわからなくてもこのくらいは書けるはずです。製法の違いは分からなくてもこれで確実に部分点はもらえるはずです。

 

では次に、

日本における「ぶどう酒/ワイン」の地理的表示について説明してください。

についてはどうでしょうか?「日本」「ぶどう酒/ワイン」「地理的表示について説明」の三つが問題文から抽出できます。

 

ここから、

「日本のぶどう酒/ワインには地理的表示という制度があります。」

までは書けるはずです。これは微妙ですが、少なくとも白紙よりは点数はもらえるでしょう。

 

では、本当に全くわからない場合はどうでしょうか?

「Queso Manchego」について 200 字以内で説明してください。

これは”Queso Manchego”しかキーワードがないので、これが何かわからなければ書きようがありません。

 

これについても、滅茶苦茶ではありますが、ソムリエがお客様に説明するという仮定で、

「大変申し訳ございません。わたくし、勉強不足でQueso Manchegoについての知識がございません。つきましてはお客様がお帰りになる前までに調べてお答えさせていただきます。」

と書くことができます。

 

ここについてはポイントとして、

誠実さ:

知らないことを無理に知っているように装うよりも、正直に対応することで信頼感を築けます。

 

積極的な姿勢:

調べて学ぶ姿勢を見せることで、お客様へのサービスの質を向上させることができます。

 

プロフェッショナルな態度:

礼儀正しく、迅速に対応することで、お客様の満足度を高めることができます。

 

をアピールするしかありません。

 

もちろん0点の可能性もありますが、それでも全くの白紙ではありませんし、審査員に裁量点があれば部分点は貰えるでしょう。


 

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