2018年度ソムリエ二次試験|テイスティング銘柄とその難易度

 

2018年度のソムリエ二次試験が行われました。

 

結論から言えば難しいアイテムが一つありますが、それ以外は平年並みの出題で、その難しいワインもほとんどの受験生はまともに回答できません(回答が割れる)ので、気にしないでいいでしょう。

全体的な難易度は、2017年度よりも若干簡単か、あるいは同レベル程度ととらえて問題ありません。

 

 

筆記試験であれば、語呂合わせだったりわかりやすい表を覚えることで効率的に点数を取ることは可能かもしれませんが、テイスティングはそうはいきません。

 

根本的にテイスティングをトレーニングしようという方は、

ワインのテイスティングのやり方|コツをつかむ具体的手法と考え方

をご参考ください。

 

 

この手の総評・講評などの記事は、「回答を知っていればそりゃ冷静に分析できるよ」とお感じの受験生も多いと思います。
その思いは全くその通りで、必死の思いでトレーニングをした受験生に偉そうに言えるものは何もありません。
また、難しい試験に向けて経験されたプレッシャーやストレスは、当人にしかわからないものでしょう。
テイスティングがうまくいかなかった方にも、一つのご参考までにしてくだされば幸いです。

 

 

2018年度ソムリエ試験 テイスティング銘柄

難易度は昨年並み 全体的にやや難しいレベル

 

2018年度ソムリエ二次試験 テイスティング銘柄はこちらです。難易度は当サイトの考えるものです↓

番号 収穫年 生産地 主なぶどう品種 難易度
2016年 アルゼンチン トロンテス 4
2016年 フランス リースリング 1
2016年 オーストラリア シラーズ 2
マデイラ    難易度2
カルヴァドス    難易度3

この表を見てわかる通り、1番目で奇問を出題し、それ以降はオーソドックスな出題で全体的な難易度を調整しています。

ヴィンテージに関しては受験年度のマイナス2で、これは例年通りでしょう。

 

2017年度の分析は、

2017年度ソムリエ試験テイスティング銘柄と難易度

をご参考ください。

 

合格レベルは、

1~3番目のブドウ品種の正解までが1

4~5番目の銘柄までの正解が1

が一つの目安になるかと思います。

もちろん、テイスティングコメントがしっかりしていればブドウ品種を外していても合格の可能性はあります。

逆に銘柄が当たってもコメントが的を得ていなければ不合格の可能性もあります。

また、相対的な試験なので、あなたの出来が良くなかったとしても、それだけであきらめるのはまだ早いです。
それでは、具体的に見ていきましょう。

 

1番目 アルゼンチン トロンテス

一番目にアルゼンチンのトロンテスが出題されました。

ソムリエコンクールでもなかなか出ないような銘柄ですので面食らった受験生も多いのではないでしょうか。

選択肢にトロンテスがあることで深読みできれば選択できるかもしれませんが、逆にここでパニックになると2番目以降に影響が出てしまいます。

酸味が少なく、第二アロマ主体でフローラル、若干のマスカット香が特徴です。

ただしほかのニュートラル系のブドウと見分けるのはソムリエ試験の受験者にとっては若干酷かもしれません。

実際に選択肢にもセミヨンなどの普段は口にしない品種があったりと、「これは難しいぞ」と思わせるのには十分なインパクトでしょう。

 

もっとも、他の受験生もできないことが予想され、回答も割れますのでコメントさえ完了させていれば、銘柄の当否はあまり気にしないほうがいいかもしれません。

 

2番目 フランス リースリング

10年以上前のソムリエ試験では何度か出題されていましたが、ここ数年はシャルドネかソーヴィニヨンブランに限定されていたので驚いた人も多いかもしれません。

しかし、決定的にぺトロール香(石油のような香り)があり、独特の一本筋の通った強い酸味はできれば正解したいところです。

今回は白ワインが2アイテムだったので、そのうちの一つは難問で、もう一つは絶対に当てるべきアイテムとすれば、このリースリングをしっかり正解することが一つの正攻法でしょう。

 

3番目 オーストラリア シラーズ

赤ワインは一つのみで、色が黒く、ぱっと見てカベルネソーヴィニヨンかシラーまで絞ることができればほぼ間違いはないでしょう。

選択肢にカベルネソーヴィニヨンがありましたので、ひょっとしたらそちらにマークをした人も多いかもしれません。

 

ただし、厳しく言えばユーカリやメントール、甘草やそのほかのスパイスを感じ取れれば他の品種と迷うことはありません。

香りである程度絞り込めればブドウ品種までの正解は優しいといえます。

逆に1番目でパニックになってしまった人は「当てないといけない」というプレッシャーから平常心を持てずに外してしまうこともありうるでしょう。

 

その意味では、今年は1番目のトロンテスとどう向き合うかがすべてだったかもしれません。

 

4番目 マデイラ

ディスクが厚く茶褐色の外観と、ねっとりした甘味、極端に酸化熟成させた印象から絞り込むことはできます。

難易度は高くありませんが、考えすぎてしまって不正解となってしまう人は多いかもしれません。

フォーティファイドワインはポート、マデイラ、シェリーくらいしか出題される可能性のあるワインはありません。

ここは思い切って3000円程度のワインを買いそろえて地道なトレーニングを重ねるしかないでしょう。

 

5番目 カルヴァドス

ブランデーの利き酒は、香りの最初の一秒が全てです。

外観である程度絞り込み、その香りをイメージしながら最初のインパクトにすべての集中力を注ぐのです。

 

逆にいえば、最初の第一印象で特定できないと嗅覚がマヒしてしまい、特定することはできません。

酸化したリンゴの香りはカルヴァドスの特徴的な香りで、コニャックやアルマニャックでもありません。

これも4番目同様日ごろのトレーニングの成果が出やすいアイテムといえます。

 

 

ちなみに2017年度は↓です。

番号 収穫年 生産地 主なぶどう品種 難易度
2016年 日本 甲州 3
2014年 オーストラリア カベルネソーヴィニヨン 1
2014年 イタリア サンジョベーゼ 4
オー・ドゥ・ヴィー・ド・キルシュ    難易度3
ドランブイ    難易度3

 

2017年度は甲州とサンジョベーゼが難しく(ただしトロンテスほどではない)、ここで二つ外すとカベルネソーヴィニヨンを絶対に当てないといけないため、今年度よりも厄介だったかもしれません。

 

ソムリエ二次試験のテイスティングで得点をする具体的手法は

ソムリエ二次試験対策|ワインテイスティングで得点するコツ

とそのリンク先をご参考ください。

 

筆記試験の奇問に関して

今年度の大きな変更点があった筆記試験についてご参考ください。

 

今年度から筆記試験は全員一斉に同じ問題を回答するシステムから、難易度を調整して受験者ごとに個別に出題するCBT方式に変更されました。

そのため受験生によっては勉強したところと出題される論点が外れてしまい、結果として難易度が高く感じる人もいたかもしれません。

逆に勉強したところがそのまま出題された結果、「思ったよりも簡単だったな」と思う人もいるでしょう。

また、いろいろ話を聞くと難問、奇問も出題されたらしく、それらがインターネットに半分笑いのネタとして取り上げられることもあったようです。

 

私はソムリエコンテストの審査員もやったことがありますのでわかりますが、出題する側には「全部正解されたら困る」という思いがあるのはやはりその通りでしょう。

満点を取った人からすればソムリエ試験そのものを簡単にとらえてしまい、最悪な場合なめられてしまいますし、これはある程度の難易度の試験であれば出題側は当然考える帰結です。

そのため目新しい問題や誰も答えられないような問題はある程度既定路線なので、大騒ぎするものではないでしょう。

 

当たり前ですが受験者側は出題者側よりも情報弱者なのは仕方がないことです。

ただし奇問や難問は話題に上りやすいので独り歩きしやすく、あなたがそのうわさ話に踊らされているのでは先が思いやられます。

出来が思わしくなかった人にすれば、実力が発揮できなかった理由を他者に見出したくなる気持ちは、私も経験しましたからよくわかります。

その気持ちをできればポジティブにとらえて、基礎知識の習得に向けてもらえれば、チャンスは必ずまた来ます。

そのときまで、喜びを取っておくのはいかがでしょうか。

 

受験者様へ

二次試験がうまく言った方へは、特に申し上げることはありません。

このまま自信をもって前へ進んでください。

 

うまくいかなかった方へも、また頑張れとか立ち上がれとかの言葉もかける気もありません。

あなたの頑張りは、あなた自身が一番わかっているはずだからです。

 

中には、厳しい毎日のなか時間を搾り取って捻出して勉強した方もいるでしょうし、周囲の反対の声を押し切って受験した方もいるでしょう。

周囲の声も、決してポジティブなものだけではなかったはずです。

なかには根拠のない中傷や、あなたの頑張りそのものを否定する声もあったかもしれません。

 

あなたの心の炎を、できれば最後の火種だけは大切にしてください。

 


 

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