ペットナット:(英)Pet-Nat(仏)Pét-Nat
ペットナットは、ペティヤン ナチュレル( Pétillant Naturel)を略した造語である。
自然派生産者が造る 弱発泡性ワイン のことを指すことが多い。
キーワードとしては新しく、グーグルの世界の検索数を検討すると、ここ10年ほどで使われ始めたことがわかる。
この検索数の伸びは強い上昇トレンドとなっている。
もともとの意味の ペティヤン ( petillant )の世界での検索数を比較すると、ここ数年では検索数は拮抗していることがわかる。
ペットナットは一般的に、アンセストラル方式 ( 田舎方式 )で造ることが多い。
これは ワイン に 糖分 と 酵母 を添加して造る一般的な スパークリングワイン に比べて人工的なイメージが低いことに起因する。これが自然派生産者に好まれる最大の理由とされる。
そのため 亜硫酸 の添加は行わない生産者も多く、ワイン造りだけではなく、栽培 にも化学肥料や農薬は使用しないことがほとんどである。
ペットナット
自然派+弱発泡性ワイン
ペットナットのワインは人的介入を極端に避ける傾向があるため、酸化防止剤 は添加せず、結果として白濁した外観のワインが多い。
また、アンセストラル方式 で造られ、その後の デゴルジュマン は行わないことも多いため、瓶のそこには酵母の残骸が残る(画像↑)。
イタリア のペットナットでは、ラベルに「col fondo」と記載されることがあるが、これは酵母の残骸が瓶の底にあるということを示している。
また、クロ―ジャー には スクリューキャップ ではなく、王冠 を用いることも多い。
これは、王冠 の場合は栓をしめなおして保存することができず、開栓した後はできる限り早めに飲んで欲しいとの生産者のメッセージが強い。
繊細な酒質のペットナットでは開栓後早期の品質の劣化が見込まれる。
スクリューキャップではしめなおしをして保存され、再度の開栓後に劣化したワインを飲まれた場合に消費者に悪い印象を与えてしまう。
これを避ける目的で王冠を使用する。王冠にすることで早めの消費を促す意味も込められている。
シャンパン方式との対比
シャンパン方式 とペットナットは、炭酸ガス の発生こそ同じ仕組みではあるが、製造工程においては大きな違いがある。
シャンパン方式 や シャルマ―方式 などの一般的な スパークリングワイン は、発酵 を完了した ワイン に 糖分 と 酵母 を添加して、二次発酵 によって 炭酸ガス を得る。
比べてペットナットは発酵途中のワインを瓶詰めするため、糖分 や 酵母 を添加せずに発酵を完了させる。つまり 二次発酵 は行わないということになる。
一般的に シャンパン方式 の スパークリングワイン は 酵母 との接触がながく、かつ デゴルジュマン を必ず行うため、風味に複雑性があり、かつ、見た目にも商品価値の高いものが多い。
一方、ペットナットは基本的に発酵が完了したら出荷するものが多く、かつ デゴルジュマン を行わないものも多い。
そのため酒質は シャンパン方式 のワインに比べると弱いことが多い。
デゴルジュマン を行わない場合は酵母の残骸が瓶内に残るため、これが浮遊した場合には見た目を損なうことになる。
マリアージュ
ペットナットはシャンパーニュなどのスパークリングワインに比べると酒質は弱く、繊細である。
そのため濃い目の味付けの料理や素材ではワインが負けてしまうため、合わせる料理も素朴な味わいのものが好まれる。
サーモンやホタテ貝、白身の魚を使ったソテーやグリルの料理には好相性とされる。
また、アジア系料理との相性も検討されていて、特にロゼのペットナットの独特のスパイスの風味とタイ料理とのマリアージュは多くのワインファンに楽しまれている。
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