ヴァッレ・ダオスタ州(Valle d’Aosta)は、イタリア北西部の山岳地帯にある自治州である。西はフランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ、北はスイスのヴァリス、南と東はイタリアのピエモンテと接している。州都はアオスタ。
面積は3,200㎢(1,260平方マイル)、人口は約12万8千人で、イタリアで最も小さく、最も人口が少なく、かつ、最も人口密度が高い地域である。
公用語はイタリア語とフランス語であるが、先住民はプロヴァンサル語の方言であるヴァルドーテン語も話す。
イタリア語を母語とする人は人口の77%、ヴァルドゥタン語を母語とする人は17%、フランス語を母語とする人は1.25%である。
気候・地理
ヴァッレ・ダオスタDOC(フランス語ではヴァッレ・ダオスタDOC)は、イタリア北西部のアオスタ渓谷にあるイタリアの原産地呼称統制名称である。
アルプス山脈に囲まれたヴァッレ・ダオスタは、ヨーロッパで最も標高の高い場所にブドウ畑が広がっている。
ヴァッレ・ダオスタの主要なワイン生産地は、ドーラ・バルテア川の東岸にあり、アオスタ市がワイン生産の中心的な場所として機能している。
この地域は、上流のヴァルディーニュ、中央のヴァル(地元ではイタリア語でValle centrale、フランス語でVallée centrale)、下流のヴァル(地元ではイタリア語でBasa valle、フランス語でBasse vallée)の3つに大きく分けられ、それぞれの畑がある。
南にはワイン産地で有名なのピエモンテ州と接している。
気候
ヴァッレ・ダオスタとは「アオスタの渓谷」という意味で、巨大な渓谷は氷河によって削られできたものである。
典型的なアルプス気候で冬は寒さが厳しく、降雪が多い。夏は涼しく、昼夜の温度差が激しい。雨は少ない。
ドーラ・バルテア川周辺はやや温和な気候である。
歴史
古代にはケルト人の一族であるサラッシが住んでおり、紀元前1世紀にローマの支配下に入り、アオスタは重要な都市となった。
古代ローマの時代からフランスとイタリアとスイスをつなぐ交通路として重要な役割であった。谷間の街道沿いの城は監視の役割を果たしていた。
古代ローマ崩壊後は、フランク王国、ブルグラト王国の支配を経て、サヴォイア家の領地となった
。19世紀初頭のナポレオンの支配を除くと、一貫してサヴォイア家の支配下であり、そのままイタリア王国に組み入れられた。
ワインの特徴
ヴァッレ・ダオスタは、イタリアでもユニークな品種が多い。
主要品種は
白ブドウはプリエ・ブランと、モスカート・ビアンコ、ピノ・グリージョ。
プリエ・ブランはラ・サル村とモルジェ村の狭い範囲で栽培されている。標高も900~1,200mと高い。
ピノ・グリージョはピノ・ノワールの突然変異種である。
黒ブドウはフミンとプティ・ルージュ。
フミンはヴァッレ・ダオスタ固有の黒ブドウであり、しっかりした紫がかかった色調がある。
プティ・ルージュもヴァッレ・ダオスタで広く栽培される固有品種である。若々しい紫がかった赤色である。
他にも、アルヴィエ村のブレンド赤ワイン(アンフェル・ダルヴィエ)、ガメイのワインなどが有名である。
尚、この地のネッビオーロは標高が高いため、色が薄く、力強さはない。
料理
ヴァッレ・ダオスタの料理はシンプルで、ジャガイモやポレンタ、チーズや肉、ライ麦パンなどの「しっかりした」食材を中心に展開されるのが特徴である。
料理の多くにフォンティーナが使われる。フォンティーナは、渓谷を原産とする牛の乳から作られるDOP認定のチーズである。
ズッパ・ヴァルペッリネーゼのスープなどに含まれる。この地方で作られるチーズには、他にトム・ド・グレッソニーやセラなどがある。
ヴァッレ・ダオスタ・フロマーゾ(チーズのヴァルドーテン)は15世紀から地元で生産されており、DOPにも認定されている。
フォンティーナのほか、モツェッタ(カモシカの生ハム)、ヴァッレ・ダオスタ産ラード・ダルナド(脂肪背肉の塩漬け・熟成品、DOP指定)、ヴァッレ・ダオステ産ジャンボン・ド・ボス(ハムの一種、同じくDOP指定)、ライ麦の黒パン、蜂蜜などが地域の名産である。
代表的な料理としては、ベルギーの同名の料理に似た、玉ねぎと赤ワインで煮込んだ塩漬け牛肉をポレンタと一緒に食べるカルボナーデ、コストレットと呼ばれるパン粉付きの子牛のカツレツ、塩漬けした牛の乳房を調理してスライスしたテトゥアン、クルトン、ハム、溶けたチーズとステーキのア・ラ・バルドテーヌなどがある。
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